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光の速さで起きる反応も動画として捉えることが可能に

東大、世界最高速「1兆分の1秒以下」の連写カメラを開発

2014年08月18日 18時24分更新

文● 行正和義

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STAMPカメラの撮影原理。照射する光を波長ごと(色ごと)に分解し、時間的に引き伸ばされた状態で照射する 

 東京大学大学院などの研究グループは8月11日、1ピコ秒レベルの動きを捉えることができる世界最高速の連写カメラ技術を開発したと発表した。

 瞬間的に起きる化学反応や衝撃波、電子の動きなどを解析するため超高速度撮影は有用な手段だが、これまで機械的/電子的な限界でナノ秒レベルの高速度撮影しかできなかった。

さまざまな動的現象の時間スケール  

 東京大学大学院、慶応義塾大学理工学部などの研究チームは、これまでの連写方式とは異なるSequentially Timed All-optical Mapping Photography (STAMP)と呼ばれる新技術を開発した。

 STAMPでは、発光装置から出る超短パルス光を波長ごとに分解し、異なる波長が時間をおいて順次被写体を照らすしくみ。STAMP光で照射された被写体をワンショットで撮影、画像を波長ごとに分解した静止画を擬似動画として生成する。

STAMPカメラの構成。波長/空間の対応関係から画像処理によって時間ごとに動画を構築する 

 開発したSTAMPカメラの連写枚数は6枚で、フレームレートは最高4.37 Tfps(229フェムト秒に1フレーム)に相当。これまで超高速度撮影で使われているポンプ・プローブ法(何度も繰り返して撮影して動画化する)のような擬似的な動画撮影ではなく、1回きりの現象でも超高速撮影が可能な点を特長とする。

フォノン・ポラリトンの形成と伝播の様子。水平方向に線集光した超短パルスレーザーによってフォノンパルスを発生、複雑な電子応答と格子振動を誘起してフォノンパルスが形成される様子(上)。パルスが画像下方から上方へ光速の約6分の1という速度で伝わっていく様子(下)

 開発した技術は4.37Tfpより高速な撮影も容易に実現できるとしているほか、従来の技術では観察できなかった生体細胞での衝撃波伝播や量子効果の可視化など、幅広い分野で活用できると考えられる。

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