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北陸先端科学技術大学院大学、グラフェンNEMS素子の動作原理検証に成功

超低消費電力機器を実現するグラフェン製ナノスイッチ

2014年08月08日 15時38分更新

文● 行正和義

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今回開発に成功した2層グラフェンNEMSの2端子スイッチの概念図(左)と実際に作製した素子の原子間力顕微鏡写真(右)

 北陸先端科学技術大学院大学の研究チームは8月6日、グラフェン膜を用いたナノスケールの機械-電子スイッチ素子の動作原理検証に成功したと発表した。

 作成した素子は、グラフェン(2次元炭素結晶)膜2層で作成したシートを梁のように電極の間に配置、下の電極に電圧を加えると静電気力で下に引っ張られて電極に接触して通電する。

2層グラフェンNEMSスイッチの作製プロセスフローを断面で示した図

 製作したスイッチは1.8Vという低電圧で動作し、また複数回動作させても流れる電流には影響がなかったという。グラフェンは電気伝導性が高く、シート状素材の弾性も高いことから、高速応答する超小型の電気スイッチとして機能し、NEMS(機械的な駆動部分を持つナノ電子素子)として利用可能だという。

3端子型NEMSスイッチングトランジスターの模式図

 現在、電流のスイッチング部品にはMOSFETなどパワー半導体が一般的に利用されているが、トランジスター回路ではスイッチをOFFした状態でも若干の電流の漏れ(オフリーク電流)が存在し、システムのスタンバイやスリープ時にも電流を消費してしまう。機械的にスイッチをOFFできるNEMS素子を用いることで、スタンバイ時の消費電力がゼロになりバッテリー消費を飛躍的に延ばすことが可能になる。現在国内外では待機中に電力を消費せず、パーツごとに電源をカットしても全体的なパフォーマンスを維持できる「ノーマリーオフ・コンピューター」技術の開発が進められており、今後このようなNEMS素子の重要性は高まってゆくと考えられる。

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