それぞれのストレージの特性をあらためて考える
HDDは一昔前にくらべて、PCにおけるストレージの役割はずいぶんと変化してきたように思う。変化のきっかけは、SSDの急成長だ。
いまや性能を重視した自作マシンはもちろんのこと、メーカー製のノートPCやデスクトップPCでも当たり前に搭載されるようになっている。
一方のHDDは、OSを格納するメインストレージとしての座は奪われてしまったものの、大容量のデータを保存するには欠かせない存在。そんなSSDとHDDのすみわけについて考えてみたいと思う。
すみわけを考えるうえで、まずはSSDとHDDのメリットとデメリットを把握しておこう。
データ転送速度はSSDが、最大容量はHDDが
圧倒的に有利
ストレージを比較するうえでの重要なポイントは3つ。「速度」「容量」「保存性」だ。まずは速度についてはご存じのとおり、SSDは記録や読み出しのスピードがHDDにくらべて圧倒的に速い。
特にランダムアクセスについては、物理ディスクが回転するHDDにくらべ、メモリーセルへダイレクトに読み書きできるSSDは高速。複数のセルへブロック単位で並列書き込みを行なうなどファームウェア上の工夫もあり、もはやHDDとは雲泥の差となっている。
SSDとHDDの容量別価格帯比較 | ||
---|---|---|
価格帯 | SSD | HDD |
~9999円 | ~128GB | ~3TB |
1~1万4999円 | 128~256GB | 1~4TB |
1万5000~1万9999円 | 240~256GB | 2~4TB |
2万~2万4999円 | 256~512GB | 3~5TB |
2万5000~3万4999円 | 256~512GB | 4~6TB |
最大容量についてはHDDが圧倒的に多い。先日登場した6TBだけでなく、3TB以上の大容量HDDが市場にかなり出回っている。
売れ筋のタイプも、3TB以上のものが多い。対するSSDは今年に入って1TBのタイプがちらほらと見かけるようになってきたが、メインストリームは256~512GB。同価格帯のHDDに比べると、かなりの開きがある。
長期保存を考慮するなら保存性はHDDが有利
さて、ある意味一番大事なのは保存性だが、これはHDDが有利だ。SSDが採用するフラッシュメモリーは、電源を切っても内容が保存されるのだが、じつのところ長期保存には向かない。
というのも、フラッシュメモリーの特性として、保存したセルへの電子注入が一定期間行なわれないと、自然と電子が失われてしまい、データを保持できなくなるからだ。
この期間は、およそ5~10年ほどと言われている。数年前にUSBメモリーに保存したデータが、いつのまにか消えていたという経験をしたことがないだろうか? SSDはUSBメモリーに比べて信頼性の高いセルが用いられてはいるが、決してデータが失われないという保証はない。そのために、データ保持期間が設定されている。
(次ページに続く、「「SSDは通電せずに保存するのが苦手」)
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