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クラウド費用を6割減らすクレバーセーフの衝撃

2014年06月24日 16時00分更新

盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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 今年4月、KDDIがクラウドサービス「au Cloud」にストレージシステム「Cleversafe」の採用を発表した。クレバーセーフは、欧米でクラウド企業の「RAID離れ」を進めてきた技術だ。「当社の技術なら、クラウドに必要な費用は従来の3分の1になる」と、クレバーセーフCEOのJohn Morris(ジョン・モリス)氏は言う。

au cloud

 「オンラインストレージに1PBのデータを保存するとき、従来なら3.6PB必要だったストレージが1.7PBで済む。おまけに20kWh必要だったサーバーの電力使用量も、クレバーセーフなら6kWhで済む」(モリス氏)

 2005年設立のクレバーセーフは、誤り訂正符号の仕組みを使ったストレージシステムを開発している。ポーランドのコンピューター・サイエンティストMichael Robin(ミヒャエル・ロビン)氏が考案したものだ。

 従来、クラウド企業は同じデータのコピーを3ヵ所に保存するRAIDシステムで安全性を保っていたが、データの復元には決まった数だけドライブが必要で、かつドライブの数だけコストは上がってしまった。一方のクレバーセーフは、独自アルゴリズムでデータを断片化してから、複数のドライブに分散保存する。分散時には別々のノードから復元できる仕組みで、システム全体に必要な容量は元データの約1.7倍で済むという。

Cleversafe

1つの企業だけで120PBを利用

 2013年、米本国でクレバーセーフの売り上げは前年比で倍増しており、「80%の企業が半年以内に容量プランをアップグレードしている」(モリス氏)状況だ。2011年からクレバーセーフを利用している写真共有サイトShutterfly(シャッターフライ)は「累計120PBの容量を使っている」。

 個人・法人・公人を問わず、ネットワークの進化によって処理が必要なデータの件数と容量は増え続けている。米国ではSEC(証券取引委員会)や法務省は文書データを5年間に渡って保存する義務があり、企業でもビデオ会議や防犯カメラなどの動画データを保存するニーズが増えているという。

 「たとえば、MLBチームのマイアミ・マーリンズは全選手のあらゆる練習風景を録画・分析し、選手指導に利用している。データ量は1シーズンあたり300TBにもなるそうだよ」

shutterfly

日本市場でも売上倍増ねらう

 大量のデータトラフィック(ビッグデータ)にRAIDは不向きだとモリス氏は言う。

 企業間では「データトラフィックが100TBを超えるサービスの場合、Amazon Web Servicesは高くつく」「PB級の処理になると高すぎてお手上げだ」とも言われており、潜在ニーズは大きいとみる。

 「よく勘違いされるが、Amazon Web Servicesは私たちの敵ではない。むしろ私たちのシステムを使えるお客様の立場にあり、競合はストレージシステムを作っているEMCだ」

 海外市場と比べると日本市場のデータ量は少ないが、今後は「MRIやCTのような医療データ、官公庁の提供するパブリックデータが増えるに従って、市場は拡大していくだろう」とモリス氏は予測する。

 「KDDIへの採用が決まってから、通信・金融業界や官庁から何十件もの問い合わせを受けている。明確な目標はないが、少なくとも(売り上げは)毎年倍増させられると思っている」


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