このページの本文へ

SIMを入れずに通信! 「ポータブルSIM」を上海でチェックした!

2014年06月12日 11時00分更新

文● 中山 智

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

画期的発明か!? 上海でドコモのニューデバイスを見た!

 NTTドコモは、6月11日から開催している「Mobile Asia Expo」(MAE)に出展。現地では先日発表した新技術「ポータブルSIM」を展示していた。

上海で開催中のMAEのNTTドコモブース。同社の技術展示がメインだ

 ポータブルSIMは、端末にSIMカードを内蔵し、BluetoothとNFCでの通信が可能なデバイス。サイズは約80×40×5.6mmで、重量は約20g。ただし開発機のため、このまま製品化されるわけではなく、さらなる小型化を目指しているとのこと。

現地では同社で開発を担当している、移動機開発部長の照沼和明氏からポータブルSIMについて詳細を聞いた

手のひらサイズで、20gと軽量。持ち運びにとても便利

ミンティアと比べるとほぼ同じサイズ。開発機のためかなり余裕をもって作ってあるそうだ

 使い方は、ポータブルSIMを対応スマホにかざすだけ。するとNFCで認証が行なわれ、BluetoothでポータブルSIMの電話番号などがスマホに送られたのち、通話や通信が可能となる。

 ポータブルSIM自体には、携帯回線での通信機能はないので、通話や通信自体は連携させたスマホで行なう。そのため、バッテリー消費量も抑えられ、開発機ではBluetoothでスマホと繋がった状態で、約3.5日間の使用が可能とのこと。

ポータブルSIMをかざすと、自局番号の情報がスマホに送られ書き込まれる

 ポータブルSIMを使う場合、2つのシーンが考えられる。まずは、1つの回線を複数の端末で使うケース。たとえば、自宅ではタブレット、外出中はスマホと使い分けたいときに、ポータブルSIMをかざせばSIMを挿し変えることなく通話や通信が利用できるので、それぞれの端末で回線契約する必要がなくなる。

 同時に連携させられる機器はひとつだけなので、別のスマホにかざすと、それまで連携していたスマホとの接続が切れてしまう。

スマホ(左)かざすと“Connecting”と表示され、もともと連携していたスマホ(右)には自動で“Disconnecting”となり接続が切れた

 次に、ひとつのデバイスを複数人で使うケース。ポータブルSIMは電話番号や通信設定だけでなく、ホーム画面や利用できるアプリなどの設定も切り替え可能。そこでタブレットを家族で共有したいときに、家族がそれぞれポータブルSIMを持っていれば、かざすだけで個人専用のホーム画面に切り替わったり、子供用に機能を制限するといったことが容易になる。

別のポータブルSIMをかざしたところ、ピンク色の壁紙を使った別のホーム画面に切り替わった

 ポータブルSIMを使うためには、スマホやタブレットが対応している必要がある。これはアプリだけなく、スマホのラジオチップのカスタマイズが必要なためだ。しかし、カスタマイズが容易にできるよう、規格の標準化も目指しているという。スマホやタブレット以外にも、スマートウォッチやカーナビなど対応デバイスが広がっていく可能性も高そうだ。

 また、SIMによる認証機能も装備しており、IDやパスワードをポータブルSIMに記憶さられる。スマホやタブレットなどでは、連携させたときに自動でその認証情報も転送されるので、ショッピングサイトなど利用時に、IDやパスワードの入力が不要となる。

 認証機能は現状ではウェブサービスのみが対象だが、自宅やクルマの鍵などにも応用可能だ。

専用のアプリが用意されており、各種サービスのIDとパスワードが管理できる

パソコンでもNFCリーダーを使えば、ポータブルSIMをかざすだけでIDやパスワードを自動で入力できる

 ポータブルSIMはまだまだ開発中のデバイスで、いろいろ解決すべき点も多い。たとえば、Suicaなどのおサイフケータイを使っている場合は、端末を切り替えてもその情報は移動しないので利用できない。また複数人でひとつのデバイスを使うケースでは、ポータブルSIMで利用者を切り替えたときに、アドレスやスケジュールなど個人データをすべて書き換えると時間がかかるため、どこまで対応させるかといった課題がある。

 現在リリース時期や価格などは決まっていないが、実用化を目指して開発中とのこと。今後のNTTドコモの発表に注目したい。


■関連サイト

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン