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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第102回

端末8割減でも生き残りを図るBlackBerry、モノのインターネットに活路?

2014年05月28日 15時00分更新

文● 末岡洋子

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QNXでモノのインターネットに拡大「Peoject Ion」

 逆風吹き荒れる中、Chen氏の手持ちカードは何か? 既存事業としては、端末事業とBlackBerry Messengerを強化する意向だ。平行して、拡大戦略として5月末に発表したのが「Project Ion」だ。これは、同社のQNX技術とBES(BlackBerry Enterprise Server)を活かしてモノのインターネット分野に進出するという。

 QNXはリアルタイム組み込みOSで、自動車(車載システム)、それに医療機器やロボットなどさまざまな用途での実績がある。これとBESを組み合わせて、モノのインターネット向けプラットフォームを構築しようというものだ。

 まずは、端末が生成するデータの収集や処理を行うクラウドベースのアプリケーションプラットフォームを用意する。通信事業者、アプリケーション開発者などエコシステム構築を行う計画という。BlackBerryはGeneral Electric、Cisco Systems、IBMらが4月に立ち上げたモノのインターネット業界団体Industrial Internet Consortium(IIC)に加入するなど、戦略的な提携も進めていくとのことだ。

 モノのインターネットへの展開は長期的事業として取り組むことになり、プラットフォームは2015年初めに公開となる予定だ。同社にそんな余裕があるのかと首を傾げたくもなるが、Wall Street JournalのChen氏のインタビューは、BlackBerryの5年後は“ニッチなエンタープライズ”を目指しているのではないと強気だ。BlackBerryの強みは業界の熟知、特許、セキュリティーとしており、これらを強化しつつまずは黒字化を実現するとChen氏は語っている。

 端末ではフルQWERTYキーボードを搭載した”BlackBerry Classic”の噂もある。フルタッチの操作に飽きてきたという雰囲気もちらほら感じられるので、逆に今のユーザーには新鮮に見えるかもしれない。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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