アップルとグーグルが取り合った「Yelp」とは
2004年に米国で始まった人気のクチコミサービス「Yelp」が、4月9日に日本に上陸した。こうしたクチコミサービスとしては、国内でも「食べログ」のような例があるが、Yelpは飲食店、病院、小売店、公園などの幅広いジャンルの口コミを投稿できる点が異なる。
また、アカウントを作成する際にFacebookのアカウントとの接続や名前の登録などが必要になるため、基本的には実名制のサービスであると認識されている(ただし登録に厳格な本人確認の仕組みがあるわけではない)。多くの人が実名で投稿しており、クチコミの信頼性が高いという評判もある。嘘や悪意のあるレビューが投稿しにくいと考えられるからだ。サイト規模も順調に拡大し、Yelpの発表によると、ユニークユーザー数は1億2000万人を突破(2013年第4四半期)。5300万件以上のレビューが掲載されている。
このYelp、日本ではまだなじみはないが、実は米国ではバージョン6以降のiOSに統合されている。「レストランを探して」などとSiriに呼びかけると、Yelpの情報を参考に近傍の店舗を候補に上げたり、店舗の平均単価・格付け・ユーザーの評価などを確認できる。またiOS標準のマップ(米国版ではMaps)内のレストラン情報からも、Yelpの情報が見られるようになっている。
Yelpのレーティングが星3つ半から4つ星に増えるだけで、夜7時予約の売り切り率が30%から49%に増加すると言われる(カリフォルニア州バークレー校在籍のエコノミストによる調査、2012年)ほど高い影響力を持つサービスでもある。
Yelpに関しては、グーグルが2009年に約5億ドルで買収を提案したが、申し出を断ったとされている。この一件からも米国では大手IT企業が熱視線を向ける注目のサービスであることが分かる。