三菱電機は4月30日、同社製直流1500V架線対応「フルSiC適用VVVFインバーター装置」が小田急電鉄に採用されたと発表した。
鉄道車両用インバーターは直流の架線電流を交流に変換、周波数を調整するなどしてモーターを制御する装置。大電流を扱うパワー半導体製品は、これまでトランジスタとダイオードというシリコン(Si)半導体を用いるものが一般的だったが、SiC(シリコンカーバイト)材料を用いることでより小型軽量な製品が登場しており、ハイブリッド自動車やEVなどで使われている。
今回小田急電鉄に採用された製品は3.3kV/1500A定格対応の大容量フルSiCパワーモジュールを適用した装置で、フルSiC適用VVVFインバーター装置の搭載は世界初。従来のトランジスタ・ダイオード式(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)インバーターに比べ、サイズ・質量ともに80%以上の削減。回生ブレーキ機能を備えるほかシステム全体で最適化しており、従来車両と比べて定員乗車時で約20%、満員乗車時には最大約36%の消費電力を改善できるという。
2014年度は小田急1000形(4両)の1編成に搭載され、各種走行試験を実施の上、12月から営業運転に使用される予定で、三菱電機でも小田急と共同で走行試験および営業運転で省エネ効果を確認する。
小田急電鉄では、新インバーターを今後160両の車両に順次搭載する予定で、改装に伴って車内インテリアもリニューアル、LED照明や約8%冷房効率を高めた新エアコン、座面1人あたり最大13mm拡幅するなどの変更を行う予定。
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