パナソニックは12月17日、東北大学開発によるナノ結晶合金を用いた高効率モーターを試作したと発表した。
電磁変換時のエネルギー損失が原理的に不可避である磁心材料は主に電磁鋼板(ケイ素鋼板)が用いられている。これまで材料特性の改善によって損失低減が図られてきたが、いまだモーターやトランスの磁心からの電力損失の総量は国内消費電力量の約3.4%を占めるという。
東北大学「東北発素材技術先導プロジェクト」では、電磁鋼板に匹敵する高飽和磁束密度とアモルファス合金並の低鉄損を兼ね備えた磁心用材料の開発に取り組み、革新的ナノ結晶合金「NANOMET」を開発した。これはFe-Si-B-P-Cu合金に適切な熱処理をしてナノスケールの結晶を作り込んだ合金で、高い飽和磁束密度と低鉄損という材料特性からモーターやトランスの磁心に適した材料と期待されている。
パナソニックでは、家電用モーターに大きな構造変更を加えることなくステータ(固定子)にNANOMETを積層した評価試験用モーターを制作。テストを行ったところ良好な結果が得られ、NANOMETを家電用モーターに採用した場合、既に90%を超える高効率なモーターにおいても3%以上の効率改善の可能性があるという結果を得た。
パナソニックおよび東北大学では、エネルギー損失の極めて小さなモーターの実用可能性が実証できたことを踏まえ、あらゆる用途への適用を目指して研究開発を進めるとしてる。
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