日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は4月8日、企業のインフォメーションガバナンス(情報統治)を支援する「HP Autonomy Information Management」ソリューションポートフォリオの拡充を発表した。多様な非構造化データのアーカイブ製品、クライアントPCのバックアップ製品、OCRによるデータ入力製品の3製品が追加された。
「HP Consolidated Archive 8(HPCA)」は、電子メールや各種ドキュメント、動画/音声、メッセンジャー/SNSでのやり取りといった、業務関連の非構造化データをアーカイブする製品。同社のデータプラットフォーム「IDOL(Intelligent Data Operating Layer)」上に構築されており、柔軟な検索機能により効率的なデータ活用が可能になる。また、設定した保持期間経過後の自動削除機能も備えており、ITコストの削減効果も見込める。監査/監視機能を提供するオプション製品を組み合わせることで、機密度の高い情報に対するコンプライアンスとガバナンスも実現する。
日本HP オートノミー・インフォメーションマネジメント統括本部の春木菊則氏は、電子メールを例に挙げて、他社製品ではできないような監査/監視機能を説明した。たとえばリアクティブな(事後の)調査では、メールアーカイブを全文検索し、該当メールをエクスポートできるだけでなく「AさんとBさんのメールのやり取りから、両者の相関を導き出すこともできる」(同氏)。またプロアクティブな(事前の)発見機能では、機密情報を含む疑いのある送信メールはいったん“検疫エリア”に保留し、監査者によるレビューを要求することができる。
米国では金融グループのモルガン・スタンレーがHPCAを導入しており、3万9000名の現行社員および12万の履歴アカウントによる、メールやメッセンジャー、チャット、シェアポイントなどのデータをグローバルレベルでアーカイブ、監視するプラットフォームを構築しているという。
「HP Connected Backup 8」は、セルフサービス型のPCバックアップ/リカバリソフトウェア。重複排除や差分バックアップ、圧縮といった技術により、ファイルサーバーに丸ごとコピー(バックアップ)する場合と比べて「数十分の1のデータ容量で済み、細いネットワーク帯域でもサクサク動く」(春木氏)。HP自身も、Autonomyを買収する前から導入しているユーザーだという。
ユーザー自身の操作で実行できるため、ITヘルプデスクの負荷が軽減される。また、1ファイル/1フォルダ単位でリカバリできるので、誤って削除や上書きをしたファイルも、ユーザー自身で復旧することが可能。また一方で、監査を目的として、バックアップしたデータを変更不可にする「ホールド機能」も備えている。オプションとして、モバイル端末からバックアップデータを参照する機能もある。
なおHPでは、Connected Backupを用いた「PCバックアップ環境構築サービス」も提供する。
「HP TeleForm 10」は、OCRにより帳票データの入力自動化とイメージキャプチャを同時に実行し、紙データの電子化を行う製品。コンテンツ管理製品「HP Records Manager」(関連記事)との連係により、電子ドキュメントの分類や整理を自動化する。
なお国内では、HPのパートナーであるハンモックの高精度OCRエンジン「WOCR」と組み合わせた形で、ハンモックから販売される。
いずれの製品も価格は個別見積もりとなっている。HPによると、HPCAは「ベースシステムが1000ユーザーで400万円程度」、Connected Backupは「定価で1万5000円/ユーザー」とのこと。