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独自BIOSだからできた、クライアント情報の詳細な把握

東芝、HDDの故障予知や省電力管理ができる端末管理システム

2014年02月13日 15時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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 東芝は2月13日、ビジネスPCを集中管理するためのソフト「東芝スマートクライアントマネージャー」(以下TSCM)の新バージョンを発表した。関連会社の東芝情報機器を通じて販売する。

管理画面。社内に接続している端末の情報を一覧し、集中管理できる

 東芝のノートパソコンは独自開発のBIOSを搭載している。一般的なI/O管理に加え、最大50桁と堅牢なパスワードなどでBIOSを守れる“セキュリティーエンジン”、センサーで利用環境や消費電力、使用パーツの疲労度(異常の監視)などが検知できる“本体センシング”機構、BIOSレベルで不正アクセスの遮断やネットワーク経由での集中管理ができる“TCP/IP通信機構”などを搭載。安心安全を実現できる点が特徴だ。

東芝製品のBIOS技術

センサーやBIOSレベルでの通信機能制御により、管理性を高め、適切に機器の状態把握ができるようになっている

 発表された「TSCM V2」「TSCM for MDM」は、これらの機構を活用し、ビジネス向けのdynabookシリーズおよびREGZAタブレットの集中管理を可能とするもの。IBM Endpoint Managerをベースとしており、起動制御やセキュリティーパッチ配布、インベントリ収集などが可能となる。

 TSCM独自機能を利用するためにはTSCM V2およびTSCM for MDMともにクライアント側の対応が必要。したがって、フル機能を利用できるのはdynabook RX3以降など、ここ2~3年にリリースされた機種が対象となる。ただしそれ以外の機種でも、IBM Endpoint Managerに依存する機能は活用できる。

 2製品のうちTSCM V2は、Windowsマシンの集中管理を実施するためののソフトウェア。PCの基本情報や動作状況、インストールされているアプリの一覧(インベントリ)などの収集、OSに加えAdobe ReaderやJavaを含めたパッチの一括配布ができる。IBMのセキュリティー監視センターが収集している情報も活用。複数ベンダーをまたぐOS/アプリケーションのパッチを効率よく当てられる点が特徴となっている。

TSCM V2の機能。パッチ配布を容易にし、PCの不正起動を防ぐ

省電力化やHDDの破損を事前に防ぐための機能も備える

 社内LANに接続せずに起動したマシンを不正とみなし、BIOSレベルで電源投入を遮断する機能も持つ。このためOSを起動する以前のセキュリティーリスクも低減できる。

HDDヘルスステータス機能は、ネットワーク上にあるクライアントPCのHDDの状態を赤・黄色・緑の3色で表示。ビッグデータで収集した既存製品の実績などを参照しながら、故障が起こりそうなマシンの台数などを把握できる。確率統計処理に基づくため確実な数字ではないが、故障するHDDの70%程度を察知でき、バックアップなど事前の対処ができるという。

 さらに消費電力量のリアルタイム監視やグループごとの省電力ポリシーの配布。部署単位で最適なケースを適用することで、あるメーカーの事例では47%、東芝自社内でも20%強の省電力削減効果が確認できたという。このほかビッグデータ解析を活用した統計的な方法と、HDD本体のS.M.A.R.T.情報を組み合わせて、HDD故障リスクを事前に察知し、3段階の基準で警告する“HDDヘルスステータス機能”も利用できる。

 販売価格は永続ライセンスと初年度の保守費用を含み5200円(税抜)、2年目以降の保守費用は毎年1300円(税抜)。

 一方、TSMC for MDMは、Androidタブレットを管理するためのソフトウェアで、インベントリ収集のほか、ストレージの暗号化、リモートワイプ、Root化の検出といったセキュリティー管理機能、パスワードルール(有効期限や複雑さ)の設定、カメラ撮影やUSB端子/SDカードの使用禁止、Wi-Fi設定情報の配布(指定したアクセスポイントのみの通信を許可する)といったことが可能。

REGZA TabletではAndroid OSに独自のモジュールを追加。OSレベルでの動作になるため、アプリケーションレベルで動作する他のMDMと比較してより高いセキュリティーが得られる

 特に「指定したソフトだけを起動可能にする」「許可したアプリだけをインストール可能とする」「許可なしにアンインストールできないようにする」といった制御が可能となる点は同社ならでは。これらはシステムの独自機能としてOSレベルでTSMC for MDMに対応したモジュールを盛り込んでいるため。アプリケーションレベルで動作し、不正なアプリケーションが起動したあとで検知する一般的なMDMエージェントを利用するより高い信頼性が得られるという。

 販売価格は永続ライセンスと初年度保守費用込みで8000円(税抜)、2年目以降の年間保守費用は2000円(税抜)。

TSCMはサーバーソフトも含め、IBM Endpoint Managerの機能を含んでいる。さらに東芝のハードと組み合わせた付加機能を提供する

 両製品ともサーバーソフトの料金が含まれており、購入したユーザーはサーバーソフト(IBM Endpoint Management)をダウンロード可能。ただしサーバーのハードウェアは含まれないため、利用者が別途用意する必要がある。

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