東芝は2月13日、ビジネスPCを集中管理するためのソフト「東芝スマートクライアントマネージャー」(以下TSCM)の新バージョンを発表した。関連会社の東芝情報機器を通じて販売する。
東芝のノートパソコンは独自開発のBIOSを搭載している。一般的なI/O管理に加え、最大50桁と堅牢なパスワードなどでBIOSを守れる“セキュリティーエンジン”、センサーで利用環境や消費電力、使用パーツの疲労度(異常の監視)などが検知できる“本体センシング”機構、BIOSレベルで不正アクセスの遮断やネットワーク経由での集中管理ができる“TCP/IP通信機構”などを搭載。安心安全を実現できる点が特徴だ。
発表された「TSCM V2」「TSCM for MDM」は、これらの機構を活用し、ビジネス向けのdynabookシリーズおよびREGZAタブレットの集中管理を可能とするもの。IBM Endpoint Managerをベースとしており、起動制御やセキュリティーパッチ配布、インベントリ収集などが可能となる。
TSCM独自機能を利用するためにはTSCM V2およびTSCM for MDMともにクライアント側の対応が必要。したがって、フル機能を利用できるのはdynabook RX3以降など、ここ2~3年にリリースされた機種が対象となる。ただしそれ以外の機種でも、IBM Endpoint Managerに依存する機能は活用できる。
2製品のうちTSCM V2は、Windowsマシンの集中管理を実施するためののソフトウェア。PCの基本情報や動作状況、インストールされているアプリの一覧(インベントリ)などの収集、OSに加えAdobe ReaderやJavaを含めたパッチの一括配布ができる。IBMのセキュリティー監視センターが収集している情報も活用。複数ベンダーをまたぐOS/アプリケーションのパッチを効率よく当てられる点が特徴となっている。
社内LANに接続せずに起動したマシンを不正とみなし、BIOSレベルで電源投入を遮断する機能も持つ。このためOSを起動する以前のセキュリティーリスクも低減できる。
さらに消費電力量のリアルタイム監視やグループごとの省電力ポリシーの配布。部署単位で最適なケースを適用することで、あるメーカーの事例では47%、東芝自社内でも20%強の省電力削減効果が確認できたという。このほかビッグデータ解析を活用した統計的な方法と、HDD本体のS.M.A.R.T.情報を組み合わせて、HDD故障リスクを事前に察知し、3段階の基準で警告する“HDDヘルスステータス機能”も利用できる。
販売価格は永続ライセンスと初年度の保守費用を含み5200円(税抜)、2年目以降の保守費用は毎年1300円(税抜)。
一方、TSMC for MDMは、Androidタブレットを管理するためのソフトウェアで、インベントリ収集のほか、ストレージの暗号化、リモートワイプ、Root化の検出といったセキュリティー管理機能、パスワードルール(有効期限や複雑さ)の設定、カメラ撮影やUSB端子/SDカードの使用禁止、Wi-Fi設定情報の配布(指定したアクセスポイントのみの通信を許可する)といったことが可能。
特に「指定したソフトだけを起動可能にする」「許可したアプリだけをインストール可能とする」「許可なしにアンインストールできないようにする」といった制御が可能となる点は同社ならでは。これらはシステムの独自機能としてOSレベルでTSMC for MDMに対応したモジュールを盛り込んでいるため。アプリケーションレベルで動作し、不正なアプリケーションが起動したあとで検知する一般的なMDMエージェントを利用するより高い信頼性が得られるという。
販売価格は永続ライセンスと初年度保守費用込みで8000円(税抜)、2年目以降の年間保守費用は2000円(税抜)。
両製品ともサーバーソフトの料金が含まれており、購入したユーザーはサーバーソフト(IBM Endpoint Management)をダウンロード可能。ただしサーバーのハードウェアは含まれないため、利用者が別途用意する必要がある。