大画面で3D立体視を楽しみたい!
手軽にプチ映画館気分を自宅で味わえる1台は?
西牧 「僕としては、鳥居さんおすすめのリーズナブルな3D対応プロジェクターと紙スクリーンで、極めて安価な大画面3Dシアターを実現したいんです。そのためにはあと何が必要になりますか?」
鳥居 「基本は3Dに対応したプロジェクターとスクリーン、そして専用の3Dメガネが必要になります。
プロジェクターも多くのモデルが3D表示には対応していますが、3Dメガネが別売となることが多いので、そのあたりはきちんと確認したいですね。プロジェクターの3D表示はアクティブシャッター方式の3Dメガネを使うのが一般的なので、3Dメガネもおよそ1万円ほどとちょっと価格も高いですから」
西牧 「アクティブシャッター方式は薄型テレビでも採用される方式ですが、基本的な3D表示の仕組みは同じですか?」
鳥居 「そうです。映画なら毎秒24コマの映像を倍の速度で左右の映像を交互に表示します。右目用の映像が画面に映っているとき、3Dメガネは連動して左目側のシャッターを閉じます。つまり、交互に表示される左右の映像を左目だけ、右目だけで見ることになるわけです」
西牧 「左右の映像は立体感を認識するための視差があるので、それが脳内で立体感として感じられるわけですね」
鳥居 「はい。ポイントは常に片目分の映像しか見ていないことです。右目だけでいえば、1/48秒は黒い画面を見ていて、次の1/48秒で右目用の映像を見ている。2D表示は常に2つの目で見ていますから、見え方としては映像が暗くなったと感じるわけです」
西牧 「だから3D映像は暗いって言われるんですね」
鳥居 「もちろん、3D表示のときには原理的に映像が暗くなるぶん、画面の明るさを増強して、2D視聴と変わらない画面輝度になるように調整されています。といっても、プロジェクターにも画面輝度の限界はあるわけですから、高輝度な製品であればあるほど明るい3D映像が得られるということになります」
西牧 「3Dプロジェクターは高輝度が重要ということですね」
鳥居 「そうです。そして高輝度になるほど、黒などの暗部がグレーがかって見える黒浮きが目立ちやすくなりますから、明るさと同時に黒が締まるコントラスト性能も重要です」
西牧 「そうなると、やはり高額なハイエンドプロジェクターがおすすめということになりそうで、ちょっと心配……」
鳥居 「そこでDLPプロジェクターの出番というわけです。一般的な液晶プロジェクターとは異なる表示方式のDLPは、光源となるランプの光を反射して投影する仕組みですが、高輝度・高コントラストが大きな特徴です。だから、比較的安価なモデルでも、3Dを見応えのある映像で楽しめるんです。
そこで僕がオススメするのは、BenQの『MH680』です。実勢価格は約8万円で、専用の3Dメガネ「3DGS-03」が実勢価格1万円ほど。後述するワイヤレスアダプターまで含めても、西牧君の希望する予算10万円台で収まります」
西牧 「予算的には十分な価格です。しかし、そこまで安価なグレードの製品でも3D映画を楽しめるんですか?」
鳥居 「そこは安心してください。一般的なプロジェクターは高輝度と言われるタイプでも輝度は2000ルーメンほどですが、MH680はなんと3000ルーメンの輝度を誇ります。コントラスト比も1万:1と実用上は十分な実力があります。
ただそのぶん、レンズシフト機能がないので、スクリーンの中央にきちんと配置する必要があるなど、使い勝手の点では多少不便な面もあります」
西牧 「肝心の3D映像がしっかりと見られるなら、そのあたりは多少我慢できますよ。幸い、設置場所などは自分の自由にできますから問題ないです」
鳥居 「それでは、さっそく設置してみましょう。ここでは投写距離の関係でおよそ80インチほどで表示しています。スクリーンの中心とレンズの中心を合わせて設置し、映像がスクリーンにきちんと映るように脚部の高さを調整します。あとはズームとフォーカスで画面に合わせ、台形歪みを補正すれば完了。慣れてしまえばすぐにできるようになります」
西牧 「コンパクトなサイズだから邪魔にならないし、調整もそれほど難しくはないですね」
鳥居 「実際に使ってみると、プロジェクターは取り扱いもしやすいし、思った以上に手軽に使えるんですよ」
西牧 「家で使うならテレビのほうが便利なのかと思って敬遠していましたが、決してそんなことはないですね」
鳥居 「では、さっそく視聴してみましょう」