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特集連動・グーグルは人工知能50年戦争の勝者か(2)

東大生がロボットに仕事を奪われる日は来るのか

2014年01月16日 16時00分更新

盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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ロボットと人間が協力して仕事をする21世紀

──協調的な発想ですね。

 この発想は非常に面白くて、チェスにはフリースタイルというジャンルがある。参加者は人間でもいいし、コンピューターでもいいし、人間とコンピューターの組み合わせでもいい。なんでもあり。そこで優勝しているのはアマチュアの人間とコンピューターの組み合わせ。コンピューターとプロの組み合わせは負ける。

──えっ、なぜですか!?

 不思議でしょ。アマチュアは、次の一手を人工知能のソフトにすべてを考えさせる。1万回くらいやって、それぞれのソフトの得意・不得意を分析している。序盤ならこのソフト、中盤なら、この場面ならこのソフトが強いというのを選び、いわゆる監督業に専念する。プレーヤーにはならない。ところがプロと人工知能は2人ともプレーヤーなわけ。対立したら人間は自分の手を使いたがる。結果として間違う。それが1つ、人と機械の協力の仕方を示唆している。小学生と人工知能の話にしてもそう。人と人工知能では得意なところが違うから、うまい協力の仕方を人工知能研究者が探っている。

──人工知能にホワイトカラーの知的労働が奪われると恐れられることがあるが、そうではなく、コンピューターからの示唆を受けて意思決定をするというプロセスを通じて、知的労働者の生産効率を上げるために人工知能が使われると。

 「レース・アゲインスト・マシーン」(機械との競争)という本も出ていた。しかしわれわれが考えているのは共に創造する「共創」。競争から共創になっていくということ。コンペティションの競争は古い。ともにクリエーションするという意味の共創。

Image from Amazon.co.jp
機械との競争

 技術的特異点(人工知能が人間の知能に追いつくタイミング)という言葉がある。カーツワイルは新しい本で2045年から2025年に早めている。確定申告ソフトが登場して8万人の会計士・税理士がクビになった。アメリカは10年ごとに仕事の種類は半分が変わると言われ、実際そうなっている。ただ、機械によってルーチンワークは置き換わるが、機械は10年後もイラストが理解できない。人間が得意なところが仕事になってくる。

 面白いのが生涯発達心理学。インテリジェンスは一種類だけじゃなくいろんなインテリジェンスがあると。言語的知能、論理とか数式とかは学校で教えるもの、アカデミックインテリジェンス。知能指数はここしか測ってない。それ以外の対人スキルを知性と考えるとか、個人内知能で面白いのは反省する能力。振り返ることができないヤツはダメとかね。

 アメリカでIQが高いのは自慢になっていない。GEはIQを入社時に測っているが、現在の取締役30人は全員IQが低かった。IQが高いというのは恥だ。自分は学校の勉強しかできないと言っているようなものだ。ビジネスに必要なものはプラクティスインテリジェンス、実践知であって、学校知もいるが実践知が重要だと。たとえば空間知能を説明するとき、お医者さんは医学部でたくさん勉強するが、頭でっかちで手術ができない。実際手術したとき、内臓を手で触れたときにこうなっているという感覚が優れた人が手術がよくできる人なので、そういうところと合わせて総合的に評価されるべき。

 熟達化5段階モデルというのもある。熟達者を見ていると、「見習い」「初心者」「ルーチンエキスパート」(マニュアルに書かれたことはできる)「アダプティブエキスパート」(今まで出会ったことのない問題でも類推してできる)、「クリエイティブエキスパート」(業務プロセスすべてを見直す力がある)と、上位に行くほど全体を俯瞰できる力が必要になる。文脈によってもいろんな前後関係があるから、言葉ではすべてを書ききれない。

 ワトソンが勝ったといっても2億ページ分の言葉を知っているだけ。言葉になっておらず、モヤモヤとしているところの知識を使うプロセスは人間がまだまだ持っているから、そこには勝てない。そこでは、人間が優位性をキープできている。人工知能は学校知を置き換えるが、実践知はなかなか難しく置き換えられない。学校知と実践知を車の両輪として考えて、こちらは人工知能、こちらは人というふうにしていくべきではないかと思っている。

 ただセンサーをやっている人やビッグデータ屋は、このマルチプルインテリジェンス、多重知能の部分にも機械がどんどん入っていけると言っているけどね。

──たとえばグーグルもそうでしょうか。

(インタビュー後編に続く)

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