武器はスピード――仮想化だけがクラウドの利にあらず
本社1F受付フロアの大型スクリーンにはクラウドの事例映像が流れ、スクリーン後方の大ガラスには「クラウド(Cloud)」の文字が踊る――1世紀以上にわたりIT業界に君臨し、ワールドワイドで年間10兆円超を売り上げる巨大企業、IBMは今、“クラウドへのシフト”を鮮明に打ち出している。
象徴する動きの1つが、2013年7月における米国SoftLayer Technologies社(以下、SoftLayer)の買収だ。SoftLayerは2005年創設の新興企業で、生業はITインフラをパブリッククラウドのサービスとして提供すること。2013年12月現在、米国/アジア/欧州など世界13カ所にデータセンターを構え、いわゆるIaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)など、アマゾン・ドット・コムのAWS(Amazon Web Services)と同様のサービスを提供しているほか、米国では数多くのSaaS(Software as a Service)型サービスも提供している。
IBMによれば、SoftLayerの顧客数は、すでに世界140カ国/約2万1000社に及び、フォーチュン500社のトップ25社中24社がユーザーであるという。また、ワールドワイドでアクセス数上位のウェブサイトのおよそ30%がSoftLayerによってホスティングされており、さらに、米国のHostCabi.netの調査(2013年10月25日時点)では、世界におけるアクセス数上位のウェブサイト(10万サイト)を最も多くホスティングしているサービスプロバイダーとして、SoftLayerがAWSを抑えてナンバーワンにランクされた(調査範囲:102カ国/621都市/1204ホスティング・プロバイダー)。
