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山谷剛史の「アジアIT小話」第62回

スマホも案外普及! 農村で見たリアルなインドのIT事情

2013年12月12日 16時50分更新

文● 山谷剛史

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筆者がたどり着いた穏やかな村

筆者がたどり着いた穏やかな村

 インドの農村にしばらく滞在していた。筆者が向かったのは「thikha maricha」村というところ。

 インド北部(北インド)ビハール州。州都パトナから超がつくほど川幅の広いガンジス川を越え、地方都市の「チャープラ」へ。さらにバスで2時間ほどの「ガーカ(Garkha)」という街から車で20分ほど行った場所だ。

 Google Map上ではGarkhaまでは確認できる。その距離はたいしたことはないのだが、猛烈な渋滞でものすごく時間がかかったわけで……。

リアルなインドを覗いてみたい!

 なぜその場所に行ったのかといえば、コルカタ(カルカッタ)にいたときに、そこに誘ってくれたインド人がいたから。彼は「リアルインドが見たいかい? どの都市も景色は同じだろうが、農村は違う。そこにリアルインドがある」と育った場所を案内したがっていたからだ。

 そんな話のほとんどが詐欺だが、どうも誘ってきた彼は詐欺師ではなく純粋な気がする。交通費や現地宿泊費(彼の家)は前払いで、金さえもらえば筋を通さず逃げることは容易だが、それでも彼は切符を持って再び筆者の前に現れた。

 インドの街はクラクションが鳴り響き、人々は要領が悪くマイペースで、一言で言うならカオスである。

 しかし、一面じゃがいも畑や田んぼが広がるその農村は落ち着いていて違った印象。広大な畑の中に点々と集落はあり、その集落を未舗装の道路が繋ぎ、人々が徒歩や自転車で静かに往来する。騒がしい都会とは違い実に静かだ。

外国人が来たときはここぞとばかりに写真を撮影

外国人が来たときはここぞとばかりに写真を撮影

 そこで顔が違う外国人は珍しいようで、村を歩くと実に神妙な顔で皆こちらを見つめる。都会だと「ハロー」のあと何か言うモノだが、学校で英語の授業があっても子供は英語を話せない。

学校は多数。ただし英語は話せない

学校は多数。ただし英語は話せない

 授業内容がきわめて薄い(中国でもこうした英語教育はよくある)こともあり、かろうじて(インドの公用語である)ヒンディー語が話せる程度。ヒンディー語が話せるようになってないと、村人全員との交流は難しい。

結婚式で祝わされる筆者。デジカメユーザーも

結婚式で祝わされる筆者。デジカメユーザーも

 村には勉強不足な人ばかりではなく、中には頭がいい人が都会の会社でデキる人になることもある。村で行なわれる結婚式では親族一同が村に戻るが、中には英語が流暢で、頭の回転が非常に速い人もいた。

 都市に出てアカ抜けた親族の中には結婚式のこのタイミングとばかりに、日本メーカーのデジカメを取り出して撮影する人も。

 一応、多くの家庭に電気は通っており、一部の家から音楽が流れることもあるが、昼になればだいたい停電し、そうすると集落は静まりかえる。

ソーラーパネルが設置された店

ソーラーパネルが設置された店

 ソーラーパネルを設置する家もあり、1万円程度から購入できるが、その数は少ない。お邪魔した多くの家には白物家電もなければテレビなどのAV家電もなく、洗濯は井戸水を利用した手洗いである。

ケータイの充電は電気のきている夜のうちに……

 唯一騒がしいのが耕運機。どうも耕運機所有者は金持ちらしく、ケータイやスマホにインドの音楽を入れ、大音量で鳴り響かせながら通過していく。

小さな街にはケータイユーザー多数!

小さな街にはケータイユーザー多数!

WindowsPhone所有者も

WindowsPhone所有者もいる

 このような一見なにもなさそうな集落だが、携帯電話の所有率は高く、夜に電気がきているうちにきっちり家で充電して日中利用するのだ。

一般的な民家。所有者はバイクが趣味

一般的な民家。所有者はバイクが趣味

 英語が話せる人に聞いたところ、自転車(お金があればバイク)と携帯電話、これがマストアイテムだそうだ。

キャリア「TaTa Docomo」の看板

通信キャリア「TaTa Docomo」の看板

 インドではさまざまな通信キャリアがあるが、それぞれのキャリアで3Gが利用できる州が異なるため(2GやGSMなら多くのキャリアが利用可能)、ここではビハール州とその周辺の都市部で3Gが利用できるAirtelというキャリアが人気であった。

街のケータイショップ

街のケータイショップ

なんとなくケータイを触るユーザー

なんとなくケータイを触るユーザー

 Airtelのロゴがぶら下がった店はいくつかの集落の店舗ではあり、数十円分からチャージできる。

 筆者がいた集落の広場には、いつも高校生くらいの男子が数人集まって、Androidスマートフォンやタッチパネルでも操作できるJava入りフィーチャーフォンを触っていた。

 彼らはゲームをするわけでもなければ、何か写真を撮るわけでもなく、ただ音楽を聴きながら電話帳の一覧を見て確認しているばかり。

村の商店

村の商店

 中国では昔から写真を撮って見る習慣があり、デジカメや携帯電話に移行した後も写真を積極的に撮っていたし、音楽も聴いていた。

 だが、農村生まれの彼らは写真を撮る習慣もなければ音楽も聞いていない。ただ一度だけ英語の使える彼らのひとりがGmailの使い方を聞いてきた。

 聞いたことがあるので使ってみたいという。アカウントを持っていないというので、太陽の光の当たらない納屋の中で助けてあげた。

 ここから自転車で20分程度のガーカでは、環境が改善しパソコン教室なども存在する。次のページで紹介しよう。

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