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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第92回

MSによる買収に向けて進むNokiaとJolla

2013年12月11日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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 9月に買収計画を発表したNokiaとMicrosoftが、着実に合体に向けて歩みを進めている。11月半ばにNokiaが開催した臨時の株主総会で株主による承認を得た後、12月に入り、米国と欧州の両当局からゴーサインが降りた。

 取引が完了するのは2014年第1四半期と見込まれており、Microsoftがスマートフォンメーカーとなる日はもうすぐだ。時を同じくしてNokiaの本拠地フィンランドでは、元Nokiaチームが立ち上げたベンチャーであるJollaが、初代スマートフォンのローンチを行なった。

元NokiaのMeeGoチームが独立したJollaが初のスマートフォンをリリース。4.5型液晶で399ユーロ

来年早々には
スマートフォンメーカーになるMicrosoft

 9月に発表されたMicrosoftによるNokiaのデバイス部門買収は、スマートフォンとフィーチャーフォンを含むNokiaのデバイス事業を37億9000万ユーロで取得するもの。Microsoftはこれに合わせて、Nokiaの特許と地図サービスを10年間ライセンスするのに16億5000万ユーロを費やすため、金額は合計54億4000万ユーロとなる。

 デバイス事業に従事していたNokiaの社員約3万2000人もMicrosoftに移る。これには、Nokiaの元CEO、Stephen Elop氏も含まれる。Microsoftから2010年9月にCEOとしてNokiaにやってきたElop氏は、デバイスとサービス部門のバイスプレジデントとしてMicrosoftに戻り、CEOに直接報告する。さらには、そのMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏が2014年引退を明らかにしており、Elop氏はCEOの有力候補の1人と目されている(この流れをみると、Elop氏は最初からMicrosoftに買収されるというシナリオを持ってNokiaに赴いたかのようにみえてしまう)。

 12月4日に買収を承認した欧州委員会(EC)は、両社の事業にオーバーラップする部分がほとんどないことを判断の根拠としている。そのほか、OS、アプリケーションなどの面で考えられる懸念について以下のように判断している。

・Microsoftが他のメーカーにOSライセンスを制限することは考えにくい。同社のモバイルOSのシェアは限定的であり、今後もサードパーティーのデバイスメーカーにOSをライセンスしてコンシューマーの受け入れを広めて、アプリを増やす必要がある。

・OfficeやSkypeなどのMicrosoftのモバイルアプリの供給を制限することも考えにくい。OfficeはサードパーティのタブレットOS(iOSを指している)向けに提供しておらず、他のタブレットメーカーに制限が加わる可能性は考えにくい(だが、ECはこの戦略にていて「アプリ開発者とユーザーの面ではマイナスでは」とも分析している。なおMicrosoftはiPad向けのOfficeを2014年にリリースすると述べている)。スマートフォンではOfficeアプリのシェアは限定的で他にも競合するアプリがある。モバイルにおけるWindowsの低いシェアを考慮すると、サードパーティのモバイルOSとの相互運用性を制限することは、最終的にSkypeの競合優位性を損なうことになるだろう。

 買収によりMicrosoftは端末メーカーに頼らずともWindows Phoneスマートフォンを作成できるようになり、Windows Phoneの市場投入が容易になることは確実だろう。日本市場でも変化が起こるかもしれない。

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