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モノも企業も変態しよう

2013年12月09日 07時00分更新

文● 伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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机の上にすっきり収まるデスクショットの価格は1万5540円(税込)

 キングジムが発売した細長い棒状のハードウエア「デスクショット」は、パソコンにつなげて使用するスキャナーだ。本体上部にカメラがあり、机の上に置いた書類を撮影してスキャニングする仕組みだ。これまでスキャナーといえば、紙のサイズに対応した大きいものだった。デスクショットは本体の小型化に成功しただけでなく、スキャナーのイメージをガラリと変えた。

 大きく変わるのはハードウエアだけではない。企業の事業も日々変わり成長している。

 ミクシィは主力のSNS「mixi」の低迷で広告収入が落ち込んでいる。11月の決算説明会では上場以来初となる通期での赤字の見通しを公表した。一方でミクシィの株価は急騰しており、4日には値幅制限の上限まで買われ、終値は前日比700円高の4855円と年初来高値を更新した。不可解な動きについて、あるアナリストが指摘するのは、アイフォーン用ゲームアプリ「モンスターストライク」だ。最大4人で同時に遊べるシステムが好評で、配信開始から2カ月弱で利用者が30万人を突破。12月中旬から公開予定のアンドロイド版も事前登録が1万5000人を越えているという。ゲーム事業はミクシィが手がけてこなかった分野ではあるが、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」の人気がひと息するなか、課金による収益モデルが描きやすいのも株価を上げた要因か。SNSからゲームへの事業変態が成功するか今後も目が離せない。

 ゲームアプリが順調と言えるディー・エヌ・エー(DeNA)は、電子マンガ事業に参入する。スマホやタブレット向けの電子マンガ雑誌「マンガボックス」を創刊した。月刊「アスキークラウド」10月号(8月24日発売)の特集「第2次スマホバブルがやってくる」でも取り上げたように、DeNAの小林取締役は「自社タイトルやキャラの育成は今後の課題」と語っている。オリジナルのコンテンツを自社で作り、人気を集めてキャラクターグッズやアニメ化といったマルチ展開を狙う。マンガボックスは講談社や小学館とタイアップすると同時に、独自の編集部を組織して新作を発掘する。ゲームとの相乗効果を狙うのはもちろん、コンテンツの重要性を知るDeNAはコンテンツホルダーへの変態を目指す。

 新しいサービスや製品の寿命はどんどん短くなっている。既存の仕組みやビジネスモデルはいずれ誰かに破壊されるので、企業は事業やサービスの変態が常に求められる時代が来ている。


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