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高級オーディオ機器との組み合わせも視野に入れたハイエンドカード

音質重視派の必須アイテム「Sound Blaster ZxR」を試す

2013年12月13日 11時00分更新

文● 石井英男

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 年末に自作PC、特に高音質な音も存分に楽しめるようなパソコンを組み立てたいと考えているのであれば、サウンドカードの選択にも頭を悩ませてみたい。高品質なサウンドカードはFPSなどを楽しむゲームフリークにとって必須のアイテムだが、ここでは2chのオーディオや、サラウンド再生など、AV機能に特化した自作を想定して製品を試す。

 クリエイティブメディアの「Sound Blaster ZxR」を紹介しよう。

クリエイティブメディアのハイエンドサウンドカード「Sound Blaster ZxR」

 以前は、音楽を楽しむ場合、CDなどのパッケージを購入して聴くのが主流であったが、最近は、iTunes Storeやmoraなどの音楽配信サイトから音楽ファイルをダウンロードして聴くのが一般的になってきた。そうした音楽ファイルは、スマートフォンやポータブルミュージックプレイヤーでカジュアルに聴くのもいいが、音質にこだわったPCを自作して、高音質なオーディオ再生を楽しむという人も増えている。CDクオリティを超える、ハイレゾ音源も話題になっているが、ハイレゾ音源もやはり音質にこだわったPCで再生してこそ、その真価が発揮できる。

 そうした音質にこだわる自作派にお勧めしたいのが、クリエイティブメディアのハイエンドサウンドカード「Sound Blaster ZxR」だ。Sound Blasterシリーズといえば、古くからのPCユーザーならお馴染みのサウンドカードブランドであり、高機能かつ高音質なことで定評がある。

 Sound Blaster ZxRは、サウンドブラスターシリーズの集大成ともいえる製品であり、とことん音質にこだわった逸品だ。ここでは、その魅力をじっくりと紹介していきたい。

ハイレゾ対応、高級パーツをふんだんに利用

 最初に、Sound Blaster ZxRの基本的な機能について紹介したい。Sound Blaster ZxRは、PCI Express x1インターフェース対応のサウンドカードであり、メインカードと、追加入出力端子を備えた「DBProドーターカード」から構成される。また、高品質ステレオマイクアレイとヘッドホン出力、マイク入力、ヘッドホンボリュームノブを搭載したAudio Control Module(ACM)も付属している。

Sound Blaster ZxRのパッケージ

Sound Blaster ZxRのパッケージに含まれているもの。左から、Audio Control Module、Sound Blaster ZxRメインカード、DBProドーターカード

 アナログ入力/マイク入力は24bit/96kHz/ステレオ対応で、アナログ出力は24bit/192kHz/ステレオまたは24bit/96kHz/5.1chという仕様だ。音楽CDの仕様は16bit/44.1kHz/ステレオなので、量子化ビット数、サンプリング周波数ともに通常のCDの仕様よりも遙かにSound Blaster ZxRが上回っている。単にカタログスペックが高いだけでなく、スタジオグレードのバーブラウン製D/AコンバータやA/Dコンバータ、ニチコン製"Fine Gold"コンデンサなど、こだわりのオーディオパーツが採用されており、カード実測値でS/N比124dBという非常に低いノイズレベルを実現しているのだ。

 カードをすっぽり覆う金属製のEMIシールドとカード上の遮蔽型銅板プレートの採用により、PCケース内部のデジタルノイズをシャットアウトしていることもポイントだ。

メインカードは金属製のEMIシールドで覆われている

メインカードのEMIシールドを外したところ。高級コンデンサがふんだんに使われている。奥に見える銅板プレートもノイズの侵入を防ぐためのものだ

DBProドーターカードも金属製のEMIシールドで覆われている

DBProドーターカードのEMIシールドを外したところ。こちらにも銅板プレートが採用されている

 コネクタにもこだわっており、メインカード上のアナログフロント出力とDBProドーターカード上のアナログ入力には金メッキを施したRCA端子を搭載。リア出力とセンター/サブウーファー出力となる2つの3.5mmミニステレオ端子にも金メッキが施されている。また、メインカードには、6.3mmの標準ステレオ端子を採用したヘッドホン出力とマイク入力が搭載されており、高級ヘッドホンもそのまま接続できる。

Sound Blaster ZxRメインカードのブラケット部。左から、マイク入力、ヘッドホン出力、アナログフロント出力(レフト)、アナログフロント出力(ライト)、リア出力、センター/サブウーファー出力

DBProドーターカードのブラケット部。左から、ライン入力(レフト)、ライン入力(ライト)、光デジタル出力(角形)、光デジタル入力(角形)

 Sound Blaster ZxRの高音質を活かすには、スピーカーにもこだわりたい。安物のスピーカーを接続すると、せっかくの高音質も台無しになってしまう。そこでここでは、コンパクトながら、オーディオファンからの評価が高い「ELAC BS 312」を用意した。ELAC BS 312の周波数特性は42~50,000Hzで、サイズからは想像できないほどスケールの大きな表現に加えて、特に高音域が美しく再生されるスピーカーだ。Sound Blaster ZxRには、こうした高級スピーカーを駆動するのに最適なステレオダイレクトモードが用意されている。ステレオダイレクトモードは、メインカード上のフロント出力(RCA端子)から24bit/192KHzでの出力が可能なモードである。

2ウェイ・バスレフ型スピーカー「ELAC BS 312」。専用スタンドも用意した

専用コントロールソフトのSound Blasterコントロールパネルで「ステレオダイレクト」を選択する

さらにWindowsのスピーカーのプロパティを開き、24bit/192kHzに設定する

foobar2000を利用して、24bit/192kHzや24bit/96kHzのハイレゾ音源を再生した

 ステレオダイレクトモードへの変更は、専用コントロールソフトのSound Blasterコントロールパネルから行う。さらに、Windows上の設定も24bit/192kHzに設定する。ハイレゾ音源配信サイトから購入した24bit/192kHzや24bit/96kHzのハイレゾ音源を、オーディオプレイヤーソフト「foorbar2000」を利用していくつか聴いてみた。

 試聴してまず驚いたのは、圧倒的な音の広がりと解像感である。特に中高音の伸びが素晴らしく、マライア・キャリーなどの女性ボーカルの声も艶やかに感じられる。もちろん、アンプ経由でスピーカーと接続しているのだが、音量を上げても、音がひずむようなことはなく、音量を絞ってもノイズが気になるようなことはない。試しに、Windowsの設定を16bit/44.1kHz(CD音質)に変更して聴いてみたが、明らかに24bit/192kHzでの出力とは響きが異なる。音が痩せた感じとでもいえばいいのだろうか、高音のきらめくような響きや、音の広がりが少なくなる印象だ。

 ハイレゾ音源ではない、普通のCDからリッピングした音楽やAACなどの圧縮音楽もSound Blaster ZxRを利用して聴くと、iPodなどで普段聴いている音に比べて、数段いい音に感じた。Sound Blaster ZxRの高音質設計は伊達ではない。高級スピーカーとの組み合わせは、オーディオ専用機と比べても遜色はない音を音を聴かせてくれるといえる。

指でつまんでいる小さな部品がオペアンプだ。交換する場合はシングルまたはデュアルのオペアンプを2個づつペアで一緒に交換する

オペアンプの交換で自分好みの音に!

 Sound Blaster ZxRは、そのままでもサウンドカードとしてトップクラスの音質を実現しているのだが、さらに自分好みの音にしたいというのなら、オペアンプを交換するという技がある。オペアンプとは、日本語では演算増幅器と訳されるパーツで、2つの入力端子を備え、その端子の差分が増幅されるというものだ。オペアンプは、音質を左右する重要なパーツであり、オペアンプを交換することで音の味付けが変わる。このあたりは、かなり趣味の領域であり、誰にでもお勧めできるわけではないのだが(オペアンプの交換は保証外の行為であり、ユーザーの自己責任となる)、市販のサウンドカードでオペアンプの交換ができるようになっている製品はほとんどない。Sound Blaster ZxRは、そうした楽しみ方もできる製品なのだ。

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