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オープンテキストの開発責任者が語る製品戦略とは

2013年11月21日 23時24分更新

文● 松下 康之/アスキークラウド

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 フロリダはオーランドで開催されたオープンテキストコーポレーションのプライベートカンファレンス、「OpenText Enterprise World 2013」でエンジニアリング部門の責任者、シニアバイスプレジデントのムヒ・マジョーブ氏(Muhi Majzoub、SVP Engineering)に製品戦略などを聞いた。

オープンテキストの製品開発の総責任者、シニアバイス・プレジデントのムヒ・マジョーブ氏

オープンテキストの製品開発の総責任者、シニアバイス・プレジデントのムヒ・マジョーブ氏

 オープンテキストはエンタープライズ情報管理(Enterprise Information Management)を主軸としたB2Bのアプリケーションソフトウェアを開発販売しているカナダの会社だ。会計や生産管理など数値や設計データなどの構造がはっきりした情報だけで企業活動が成り立っているわけではなく、実際にはメールや報告書など非定形の情報が大半を占めており、それらの非定形データをいかに活用するか?が企業の競争力を計る指針となると言う。日本では余り知られていない業務アプリに特化した知る人ぞ知るソフトウェア企業と言えるだろう。

 今回のカンファレンスでは製品を5つのスイート製品群に整理し、それらの製品群を共通したユーザーインターフェースでデザイン、さらに開発者向けにappworksというスイート製品をつなぐ開発ツールをほぼ無償(1社につき10名の開発者まで無償で利用可能)で提供したことなどが主なトピックである。

 北米大陸のIT企業の例に漏れずオープンテキストも様々な企業買収を重ねてきたが、今回のカンファレンスではこれまでの買収によって増えた製品群を5つのスイート製品に整理し、ERPなどでカバー出来ない非定形データが必要とされるアプリケーションの領域を幅広くカバーするのが戦略であるようだ。その中にはマーケティングオートメーションも含まれており、オープンテキストが買収した企業のバリエーションとポートフォリオに対する貪欲さが見えてくる。この辺りはさすがにオラクル出身のCEOの面目躍如といったところだろうか。

 オープンテキストがエンタープライズインフォメーションマネージメント(EIM)と呼ぶソリューションの中で主力の製品のひとつがBPM(ビジネスプロセスマネージメント)製品だ。

 BPMとは、一言でいえば業務の工程をフローチャートの様に定義し、条件分岐や必要な工程を設定することで業務フローをシステム化するアプリケーションとなる。端的な例を挙げれば保険会社における審査処理などで申請者の年収や過去の履歴などを判断し、可否を決定する業務などが挙げられる。このような業務の場合、単純なワークフローアプリケーションではシステム化は困難だが、かと言って全てCなどの言語で固定的にシステム化するには変更が多く、法律などによって変更が必要となることも多いと言う。業務そのものが非定形かつ人間が関わる工程が多い仕事をシステム化する際に効果を発揮する領域と言えるだろう。オープンテキスト日本法人の代表、早川氏によれば「一筆書きで書けるワークフローではないより高度な業務プロセスをシステム化するのには最適」なアプリケーションであるという。

 オープンテキストのエンジニアリングのトップであるマジョーブ氏はBPM製品に関して2011年のMetastorm及びGlobal360の買収2013年のICCM SolutionsCordysの買収などBPM関連の買収を挙げ、オープンテキストがBPM関連製品のポートフォリオを充実させることに力を注いでいることを紹介した。またマジョーブ氏はそれぞれのBPM製品のカバーする範囲を整理し、クラウドからオンプレミスまで広い範囲で適用できることを強調した。日本からカンファレンスに参加したパートナー企業の営業担当によればほとんどが保険業界や金融業界からの案件であるという。

 実際の製品デモを見てみると業務アプリなのに不思議なぐらいモダンなWebアプリに見える。製品担当のマジョーブ氏が元CA、マーケティング担当のVPであるケビン・コクラン氏が元アドビ、CEOのマーク・バレンシア氏は元オラクルであることを考えると特定の業務に特化したアプリケーションと言えどもレスポンシブなデザインでモバイルに対応することが必須であり、オープンテキストがその流れをリードしようとしているようにも見える。日本での展開に期待しよう。

キーノートで製品戦略を語るマジョーブ氏

キーノートで製品戦略を語るマジョーブ氏

参考サイト:http://www.opentext.com

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