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「眼は嘘をつかない」、行動追跡の未来は?

2013年10月18日 11時23分更新

文● 松下 康之/アスキークラウド

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  消費者の意識と行動を探り、それに最適化することが購買の促進に繋がるというのがマーケティングの「基本のキ」だとすると、おしゃれで可愛らしい広告や芸能人がにっこり微笑むTVCMにも意味があるというのが広告宣伝屋さんの発想だろう。

 しかしテレビも雑誌も消費者にとってはいつも接する媒体としての時間の割り当てが減らされる一方の昨今、如何にWebを活用して消費者にリーチするのか?がデジタルマーケティングの主なゴールになっている。既存のテレビ、雑誌とは違い、Webサイトではどこから来たのか?検索のキーワードは何か?実際にサイトでどのくらい滞在したのか?何をクリックしたのか?などWebではテレビで入手不可能なデータが獲得できる。

 そこからもう一歩、先まで考えると「クリックしないまでも何を視たのか?」が知りたいと思うのは自然の欲求だ。既にセンサーを活用して人間が何を視ているのか?を検出する製品は製品化され活用されている

TobiiのEyeTrackerを使い、視線で岩石を破壊するゲームをプレイ。

TobiiのEyeTrackerを使い、視線で岩石を破壊するゲームをプレイ。

  写真は視線を解析し、ゲームをプレイしているところ。既にかなりの精度でマウスの代用として利用できる。 しかし、実際にデバイスを使って解析をするのではなく、アルゴリズムで視線の認識を解析しようとする企業が出てきた。

http://www.fastcompany.com/3019886/buyology/eyetracking-and-the-neuroscience-of-good-web-design

  ここで紹介されているEyeQuantはドイツのベンチャー企業。これまでの外付けデバイスではなくアルゴリズムで視線のトラッキングを実現している。

 だが進歩はここで止まらない。ディスプレイ広告のリーダー、グーグルは更に先を行く。Google Glassは単にメガネ型のディスプレイではなく「映される商品を何秒見たか?見終わった後に笑っているか?」など広告を表示、評価するデバイスとして使われる可能性があるとMashableは伝えている。

http://mashable.com/2013/08/23/google-pay-per-gaze-advertising/

 この記事では頭部に装着したデバイスで撮影した外部のイメージと視線トラッキングシステムを組み合わせてユーザーが視たものを認識し、広告として活用するシステムが特許として成立したことを伝えている。特許を取ったのはグーグルだ。つまり「Pay-per-Click」ではなく「Pay-per-Gaze」(視るだけで課金)するシステムとなる。

 Google Glassに視線認識のアルゴリズムが盛り込まれたら、何を見ているか?をトラッキングされ、クリックする前に広告の効果測定が可能になる。またリアル・ワールドでもコンビニの棚の何が見られているのか?を計測され課金される。

 ユーザーが何を視ているのかをトラッキングし、その結果を判定すれば、本当の意味で消費者が望んでいるものを理解出来るようになる。「眼は嘘をつかない」が数値で証明されるのはもうすぐそこかもしれない。

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