松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第27回

iPhone 5s行列米国版　買えなかったゴールドと新しい買い方

午前5時のApple Store 4th Streetの行列。キャンプ用品の投入はカリフォルニアらしい？

　米国でも予約が受け付けられなかったiPhone 5sを求めて、Apple Store前には行列ができた。そこはカリフォルニア。自慢のアウトドアセットで快適に過ごす人たちの姿も。

品不足という話はどこに……？
世界で好調なiPhone 5s

　iPhone 5sとiPhone 5cは9月20日に発売され、金曜日から日曜日までの3日間に全世界で900万台が販売されたそうです。例年なら発表していた予約開始24時間での予約数を今年は発表せず、予約数や最初の週末の3日間のセールスが、これまでよりも低いのではないかと不安にさせる場面もありました。

iPhone 5sとiPhone 5。なんといっても指紋認証Touch IDの快適さだけで、選んで良かったと納得

　しかしAppleが週明け9月23日に発表した数字はめざましいものがありました。昨年iPhone 5を1機種発売し500万台を達成した3日間のセールスは、iPhone 5sとiPhone 5cで900万台。米国での内訳はiPhone 5sが5cよりも3.5倍も売れたそうです。

　販売比率は各国で異なり、廉価版の方が売れると見られていた中国でも91％がiPhone 5sでした。日本では80％をiPhone 5sが占めるなど、10月に入っても量販店などでiPhone 5sの在庫が改善しないにもかかわらず、相当数のiPhone 5sが用意されていたことがわかります。

　結局、日本でも米国でも、行列しなければiPhone 5sが購入できなかった。いや、逆にAppleは今回、世界中のApple Storeの前に、iPhone 5sを求める人を並ばせたかったのではないかとすら考えたくなります。

9月20日、午前5時に参戦も……
すでに50人以上の行列が

　筆者はサンフランシスコから北へクルマ20分ほどの位置にある街、バークレーに住んでいます。バークレーはカリフォルニア大学の本校であり最高峰、UCバークレーがある学生が多い街です。9月上旬は2週間ほど、連日30度近くの気温になりましたが、それが終わるとめっきり秋らしくなり、気温も20度までしか上がらず、朝夕は10度前半。急に寂しくなるような9月下旬を迎えていました。

朝から並んだ筆者のポジションは56番目。深夜からの行列でなけれはば、ゴールドはおろか、シルバーも難しかった

　予約を受け付けていなかったiPhone 5sを購入しようと、発売時間の3時間前、午前5時にバークレーにあるApple Store 4th Streetの前に行くと、そこには予想外の大行列が待ち受けていました。大学があるといっても、素朴な住宅地の広がる郊外の街です。しかも米メディアでは新型iPhoneの人気がイマイチなのでは？　という事前情報もあり、油断していました。筆者の前にはすでに55人が並んでいました（数えました）。

　行列を見ると、学生のような若者、というよりは仕事に就いているような30代半ば以上の人たちが中心。中には60歳以上の男性もちらほら。日本のiPhone行列の年齢層よりもグッと高め、という印象でした。

　それにしてもアウトドアグッズの充実ぶりはさすが、といったところです。筆者の友人にも、本気のキャンプ道具が一揃いある人たちがたくさんいて、まあそういう人たちは機会があれば使いたくて仕方がないという部分もあるのでしょう。自慢のキャンプ道具で楽しそうに一晩を過ごす人たちもいました。

　しかし「東京で10日間Apple Store Ginzaの前に並んでいた」というストーリーが現地でも知られており、台風の中での行列はさぞ過酷だっただろう、それよりはマシだと言っていました。ちなみにバークレーのお店に並んだ先頭は女性2人で前日9月19日の夕方5時頃からとのことでした。

　筆者の56番目というポジションでも「iPhone 5sの在庫は足りる」と6時頃にコーヒーを配りに来たApple Storeの店員さんは語っていました。ただし、色は問わず……ですが。

店員によるコーヒーとスナックのサービス。コーヒーはスターバックスだったが、段ボールのポットサービスは初めて見た