比較的裕福で“濃いファン”が集まるイベント
最後にManga Festivalの補足的説明を。入場料は4万5000ドン、といってもわかりにくい。1円は200ドンちょっとなので225円となる。
この金額は地元の食事が2,3杯は食べられる。なのでこうしたイベントに参加できる人(特に学生)は経済的にそこそこ余力がある人たちだ。普通の若者がよくわからず勢いで入る値段ではない。
このイベントに参加できるような経済力のある人は、以前から自宅にPCとブロードバンド回線があり、動画をよく見ているユーザーである可能性が高い。だからこそスマートフォンも所持している。またそれだけの経済力があるからこそコスプレの準備もできる。
日本のコンテンツはいくつかの出版社がマンガを販売していて、雑誌の屋台や本屋などでは特に「コナン」「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」といった作品をよく見かける。一方、いわゆるマニアはネット上の動画サイトでアニメを見ているようだ。
来場者の中で女性比率は高く、カメラ代わりにスマートフォンで写真を撮る人が多い。毎年手伝っている日本人からは、開催ごとに濃いファンが来ているという。
中国でも10年近く前は、娯楽が少ないのでイベントには参加するというライトな層も多数いたが、次第に純粋にアニメやコスプレが好きな人々だけが来るようになった。
ベトナムのイベントながら、まるで中国のサブカル黎明期を思わせる光景に見えたのだった。ベトナムにおいても、今でこそライトなサブカルユーザーが多く参加した祭りとなったが年を追う毎に純粋なファン同士がシェアするイベントとなり、日本から直輸入のホンモノをほしがるようになるのではないか。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。
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