中国のネットは足の引っ張り合いが日常茶飯事
今月に入り中国人を「不徳不信」と形容する中国メディアがあった。
「徳なく人間不信」とは中国人に申し訳ないが、赤の他人を信じない環境から起きる日々の小さな事件から大きな事件まで見るに、正直言い得て妙だとは思う。
中国メディアが警鐘を鳴らし、一部の若きネットユーザーは戒めようとするものの、多数派は信用なき社会を利用しようとしている感じを受ける。
日本企業同士が競争すれば、互いに技術を磨きあうが、中国企業同士にしろ個人にしろ、競争する時は相手を叩いて評判を下げることで相対的に自分を上げる事件がよくある。
筆者自身も中国で仕事仲間と同行していると、別の人から「あの仕事仲間は能力無いぞ」と散々ののしった上で「私を使った方がいいぞ」と自己アピールする三国志でいうところの「離反の計」もしばしば(幸い、今のところ「美女連環の計」をうけた経験はない)。
たとえば、今でこそ中国の2大動画サイト「優酷」(YOUKU)や「土豆」(TUDOU)は合併しているが、合併前に競っていたときはよく相手をののしり合っていた。まだ前回の連載で紹介した、中国事業でLINEと提携した「奇虎」(qihoo)は、しばしば検索の「百度」(Baidu)や、チャットソフト「QQ」の「騰訊」(Tencent)に「おたくの製品には問題がある」と難クセをつけてはネットを舞台にした口喧嘩を行ない、ネット界隈で話題になることで知名度を上げた。
ちなみに中国語でこの手の口喧嘩を唾が飛び交う様から「口水戦」と呼び、ニュース検索すれば頻繁に企業同士の「口水戦」に関するニュースがあることがわかる。
表面では見えない口水戦は茶飯事。中国にも「大衆点評」を代表としたレストランやホテルなどのクチコミサイトがあるが、ライバル店同士が悪評(中国語で差評)を書くことは珍しいことではないし、それは同様に「淘宝網」などのオンラインショッピングストアのストア評価やアプリサイトのアプリ評価などでも見られる。
その逆もあり、ECサイトからの依頼を受け、品物を買って受けとり、高評価をするまでの一連の代行を行なう宅配業者や、TwitterやFacebookのようなSNSのフォロワーを提供する業者、アプリストア内のダウンロードランキングかさ増し業者がいる。
こうしたことから、クチコミサイトの星の数は評価の内容は信頼されておらず、ユーザーは鵜呑みにせず知人に確認するというステップを踏む。
とはいえ悪評がつけば、それがライバルが書いたものでも対象から外すユーザーもいるのも事実で、相手を蹴落とす効果があり、悪評をつける習慣は絶えない。
悪評をつけられないために、多くのECサイトではクレーマーではない購入者に対しては無償交換や返金に真摯に応じているが、ごく一部のECサイトでは腹いせとばかりに最低評価をしたユーザーに汚物を送りつける例もある。
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