「あらゆる分野でAppleに市場を明け渡すつもりはない」
このように発言するのは、Microsoft CEOのSteve Ballmer氏だ。先ほどのAll Things Digital記事の中でも紹介されているが、Ballmer氏はCRNのインタビューの中で「いかなる分野においても(Appleに対して)市場を明け渡すつもりは絶対にない」とコメントしている。
現在Appleが絡んでいる分野は多岐にわたる。Microsoftはソフトウェア企業だが、それだけでなくハードウェアからコンシューマー向けクラウドまで、あらゆる分野で競合してAppleに対抗していくという強力なメッセージだ。当然、現在のホットスポットとなっている7〜8インチタブレットはその筆頭候補だと思われ、その対抗策を当然考えているということだろう。それがMicrosoft自らがSurfaceで打って出るのか、あるいはパートナーとの連携で対抗するのかは不明だが、何らかのアナウンスが近いタイミングで行なわれる可能性はある。
足下の課題
とはいえ、Surface RTの不調や、なかなか伸びないWindows Phoneのシェア、PCとスマートフォンでのカーネル統合問題など、足下の課題はまだまだある。その次のステップが、次期Windows OSのメジャーリリース(あるいは統合マイナーアップデート)とみられている「Blue」だ。小型タブレットにしろスマートフォンにしろ、次にSurfaceで打って出るのであれば、ソフトウェア側の最適化問題も避けて通れないからだ。
また、先ほどのThe Vergeの記事では、MicrosoftがSurfaceにIntel Atomの「Clover Trail」を用いる可能性についても言及している。
現在のSurface Proにおける問題として、PC向けプロセッサーを利用したことからくるバッテリー駆動時間の短さと、現行のIvy Bridgeでは「Connected Standby」がサポートされていないという点が挙げられる。しかもSurface Proでは、バッテリー駆動時間延長と熱設計の余裕を持たせるため、Surface RTに比べて筐体サイズの厚みと重量が増しており、価格も999ドルからと高くライバルとの競争で不利となっている。ある程度はIntelの次期プロセッサーアーキテクチャ「Haswell」で解決されるとみられるが、まだ少し先の話だ。
Surface RTはというと、「従来のWindowsアプリケーションが動作しない」という最大の問題があり、Windows Storeの充実度が低い現在では課題のひとつといえる。
この両者の問題を解決するひとつの方法がClover Trailベースのタブレットというわけだ。Clover Trailは搭載メモリーが2GBと少なめな一方、省電力動作やConnected Standbyをサポートするなど、性格的には高性能なARMプロセッサーに近い。一方でx86ベースのプロセッサーであり、動作するOSもWindows RTではなく32bit版Windows 8のため、従来のWindowsアプリケーションがそのまま動作する。現在Surface RTとSurface Proが抱えているジレンマを解決する手段となりえる。
少なくとも7〜8インチサイズのタブレット市場を狙う場合、IntelのCore Architectureのプロセッサではなく、選択肢としてはARMかClover Trailが有力な選択肢となるだろう。特に後者のプロセッサーの場合、iPad miniやNexus 7にはない「Windows 8アプリケーションがそのまま動作する」というメリットがあり、十分なアピールポイントとなる。