このページの本文へ

実効容量単価は1.5ドル/GB、新プラットフォームの狙いとは

「プライマリ市場もオールフラッシュで」ヴァイオリンが語る

2015年03月19日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ヴァイオリン・メモリーは3月18日、国内提供を開始したオールフラッシュストレージの新製品「Violin Memory 7300 FSP」「同 7700 FSP」に関する説明会を開催した。いずれも「Flash Storage Platform(FSP)」という新プラットフォームに基づき、プライマリストレージ市場へのオールフラッシュ適用拡大を狙った製品だ。

ヴァイオリン日本法人 日本支社長の大久保淳仁氏

米ヴァイオリン プロダクトマネジメント&戦略担当SVPのサイード・ウィサール(Said Ouissal)氏

新しいOSと新世代フラッシュモジュールを採用した7300/7700

 今年2月に出荷が開始されたViolin Memory 7300/7700 FSP(関連記事)は、HDDと同等の実効容量単価を実現し、既存のストレージシステムが備える各種データサービスを搭載することで、プライマリストレージ市場をターゲットとした製品ラインとなる。

Violin Memory 7300/7700 FSPの特徴

 7300 FSPは、3Uサイズのオールフラッシュアレイで、単体のFC/iSCSI SANストレージとしても、7700 FSPに組み込まれるフラッシュアレイとしても動作する。単体利用時のパフォーマンスは、最大100万IOPS(4Kブロック)、最小レイテンシは250マイクロ秒。物理容量10.5TB~70TBまで6モデルがラインアップされているが、そのうち下位4モデルは、容量を段階的に追加購入できる“Pay-As-You-Grow”ライセンスモデルを採用している(ハードウェアは同一だが、型番は「7300E」)。

 7700 FSPは、モジュラー型のオールフラッシュアレイで、同期レプリケーションで“ゼロRPO/RTO”を実現するクラスタが構成できる。ハーフラックサイズに最大6台までのフラッシュアレイ(物理容量は最大420TB)を収容する。

 いずれも最新OSとなる「Conerto OS 7」を採用しており、インライン重複排除/圧縮によるデータ削減機能を持つ。データ削減機能を適用した際の実効容量(削減率6:1で計算)は、7300/Eが最大217TB、7700が最大1.3PB。

 加えて、フラッシュストレージモジュールが搭載するMLCチップが新世代のものに代わり、大容量化/高速化したことで、データ削減機能を適用した場合の実効容量単価は「1GBあたり1.5ドル」程度まで下がっているという。

PCIe接続のVIMM(Violin Intelligent Memory Module)。独自のコントローラーFPGAなどを内蔵する。旧世代のMLC-VIMMと比較して、10倍程度高速化されたという

 さらにConcerto OS 7では、アプリケーション動作に影響を与えないスナップショット、シンプロビジョニング、クローン、リモートレプリケーション(非同期)などのデータサービスや、外部クラウドオーケーストレーターとのAPIも提供される。

 なお、価格については販売代理店への要問い合わせとなっている。国内販売パートナーはSCSK、NSDビジネスイノベーション、東芝ソリューション、マクニカネットワークスなど。

プライマリストレージ市場を狙い新プラットフォーム開発

 説明会に出席したヴァイオリン日本支社長の大久保淳仁氏と米ヴァイオリンSVPのサイード・ウィサール氏は、新製品の設計コンセプトである“Flash Storage Platform”の狙いについて説明した。

 ヴァイオリンでは、オールフラッシュアレイの適用領域をあらゆるワークロードに拡大する「オールフラッシュデータセンター」の実現をゴールとしている。そのロードマップにおいて、大きな意味合いを持つのがプライマリストレージ市場へのフラッシュ適用であり、今回の7300/7700は同市場をターゲットとした製品となる。

全領域へのオールフラッシュアレイ適用というゴールに向けて、3段階めに当たるのがプライマリストレージ市場への浸透

 プライマリストレージ市場を狙うために、Conerto OS 7では、従来のストレージシステムが備えていた機能やコスト性などの要件を満たすための設計がなされている。具体的には、前述したレプリケーションやスナップショットなどのエンタープライズ向けデータサービス、そして重複排除/圧縮などが実現するHDDと同等の容量単価だ。

 ウィサール氏は、「同市場ではすぐれた性能、データサービス、GB単価という3つの要件があり、設計目標はこれら3つを兼ね備えたプラットフォームだった」と説明した。

FSPの設計目標は、性能/機能/コストの3つがバランスよく調和したプラットフォーム

 こうした設計により、7300/7700 FSPでは、既存製品の6000シリーズがターゲットとしてきた“Tier 0”よりも下の“Tier 1”層をターゲットとしている。

これまでハイブリッド(SSD+HDD)ストレージが担ってきたTier 1層を、オールフラッシュで置き換える戦略

 「将来的には次世代NANDフラッシュ(3Dフラッシュ)採用も予定しており、おそらく数年で、大幅な容量拡張とコスト(容量単価)削減が見込める。現在のしっかりしたアーキテクチャにこれが加われば、マーケットリーダーのポジションに立つことができる」(大久保氏)

カテゴリートップへ