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NTTレゾナント、Androidの実機テストをクラウド化

2012年11月13日 20時00分更新

文●盛田諒/アスキークラウド編集部

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Windows 8パソコンにタッチすると、インターネット(クラウドサーバー)を経由してAndroidの実機が動く

 NTTレゾナントが13日、Androidアプリ開発者向けの新サービス「Developers AppKitBox」を開始した。Androidアプリの動作テストができるシステムで、対応するスマートフォンは合計46機種。

GALAXYなど人気機種も試せる

 テスト料金は1時間で900円、50時間で4万円など(1時間は来年1月から)。1機種あたり2.5時間まではお試し時間として無料で使える。

 テストツールは、カトマック社のソフトを採用。NTTレゾナントの国内データセンターにある「実機」の画面をパソコンに転送し、インターネット経由で、パソコンから実機を遠隔操作する。画面の転送速度は15~50fps程度と高速だ。試すのはあくまで実機なので、誰かが同じ機種でテストしていたら、それが終わるのを「待つ」必要はある。

 「WebDriver」「NativeDriver」といったツールとも連携するため、ネットの向こうにあるスマートフォンを手元のパソコンとUSBでつながっている感覚で動かせる。ただしソフト上の制約によりマルチタッチ操作には対応せず。フリック・スワイプ・タッチ動作のみ検証できる。

一覧から試したいスマホを選ぶ。(左上) データサーバーにあるスマホの画面をパソコンに表示、操作できるようになる。(右上) 2機種を並べて比較もできる。(左下)

 開発者にとってうれしいのは、デバッグやテストにかかるコストが減らせること。

 AndroidはiPhoneと異なり、OSのバージョンやキャリア、チップセットや端末ごとのレギュレーションに左右される。1つの機種で動いたからといって、ほかの機種で動くとは限らず、さまざまな機種で調べる必要がある。その調整にかける手間と費用はバカにならない。アプリ開発にかかる全コストの55%にあたるケースもあるといわれる。

 当のNTTレゾナントも、検索ポータル「goo」アプリ開発で同じ苦しみを味わった。「わたしたちが悩み、解決してきた課題を広く提供したい」(NTTレゾナント 小澤英昭氏)。

Androidアプリの開発には、各フローごとさまざまな課題がある。とりわけ高い壁が「検証」だ

 Developers AppKitBoxとあわせ、アプリテストの手法、HTML5動向などの最新情報を提供する、開発者向けの情報サイト「Knowledge Note」も開始した。開発ツールや、フレームワークの一覧、使いどころの解説、開発ノウハウなどをとりあげていく。

 NTTレゾナントではこれらを第一弾として、SDKやAPIを提供したり、ハッカソン・イベントを開いたりと、Androidアプリ開発者向けのコミュニティーサービスを手がけていく予定。まずは2013年度に2億円の売り上げを目指しているという。

 今後もこうしたサービスが増えていけば、コストと面倒さを理由にiPhoneアプリに専念していた開発者が、Android版を考えるきっかけになるだろう。Androidアプリの開発者が「起動しませんでした。最悪です」という酷評レビューに涙を落とすことも減るかもしれない。

今後のロードマップ。SDKやAPIの提供、ハッカソンの開催なども予定しているという


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