一方で、Windowsで標準で使われるファイル共有である「SMB」や「CIFS」、Mac OSで使われる「AppleShare」、標準的なファイル転送プロトコルである「FTP」や「WebDAV」などはサポートしていても、DTCP-IPのような認証制度が必要なプロトコルはサポートされていないことが多く、AV機器とも連携したい人にはキットは向かない。
AndroidやiOS端末からアクセスするアプリケーションがない場合もあるので、ある程度の知識は必要になる(今回評価したキット製品には用意されている)。そのためキット製品は、コスト性能や将来の容量増を重視し、ホームAVはあまり考慮しない人向けと言えるだろう。
転送性能という観点で比較すると、これはメーカー完成品かキットかよりも、個々の機器が使用しているCPUなどに大きく左右される。例えば今回、バッファローのNASでもプレミアムタイプに属する「LS-VL」シリーズを取り上げているが、スタンダードタイプの「LS-XL」シリーズならば、性能は低くなる。
一方でQNAP社のキット製品のように、転送性能も高い上にiSCSIやマイクロソフトのActive Directory、複数拠点での同期連携など、エンタープライズ向けの機能を含んでいる製品もあり、価格も高めだ。どの程度の性能と容量を求めるかで価格が変わることになるだろう。
前置きが長くなったが、次ページから本特集で扱うNAS製品をご紹介しよう。
ルーターによる簡易NASという手もあり?
自宅内で簡易的にファイル共有をしたい場合、最近の無線LANルーターではUSBポートを装備して、そこにUSB HDDを接続することでファイルを保存・共有できる製品がある。
ただし、非常に単純なファイル共有だけしかサポートしていないうえに、筆者が以前試したところ、用意したUSB HDDの省電力機構とバッティングするようで、安定したファイルの閲覧ができなかった。あまりお勧めできる機能ではなさそうだ。
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