米インテルは11日(現地時間)、米国サンフランシスコ市にて開発者向けイベント「Intel Developer Forum」(IDF)を開催した。同日行なわれた基調講演では、次世代Core iプロセッサーとなるコード名「Haswell」のデモなどを披露した。
クラウドの両端をガッチリ握るインテル
HaswellはIvy Bridgeと同じ22nmプロセスで製造され、新しいマイクロアーキテクチャーを採用する。ただし、CPU内部でCPUコアとLLC(Last level Cache)、グラフィックスプロセッサーなどをリングバスで接続するという、現行のIvy Bridgeと同じ基本構造を採用する。
一方で、CPUコア自体は新しいアーキテクチャーとなっており、命令実行ポートが追加されたほか、並列に実行できる内部命令「μOps」数が増えている。また、AVX命令などが強化されており、特にメディア処理などでも多用される「積和演算」(かけ算した結果を足し算する演算)を、1命令で実行できるようになった。
初日の基調講演は同社上級副社長のデービッド・パルムッター氏が担当した。パルムッター氏はいくつかのデモを交えながら、Haswellが登場する2013年のモバイル分野について語った。IDFは今年で15年目。最近のインテルはセキュリティーソフトのマカフィーや組み込み系OSのウインドリバー社、さらには半導体製造会社であるインフィニオン社の携帯電話向け事業(3G通信デバイスなど)を買収している。もちろんコンピューターのアーキテクチャーや製造技術なども押さえており、コンピューター全般をカバーしている。
こうしたインテルをパルムッター氏は、「All Under One Roof」(すべてひとつの屋根の下)と呼ぶ。そして現在は「クラウド」と「モビリティ」に集中しているという。PC単独の時代から、スマートフォンやタブレット、ノートPCなどのモバイルデバイスが、インターネットを介して「クラウド」側と接続して動作する現在の状況にあっては、インテルのメインターゲットはその両端にあるコンピューターというわけだ。
例えばデータセンター側に関しては、Xeonに加えてXeon PhiやItanium、あるいは低消費電力のAtomを用意し、クライアント側にはCoreシリーズとAtomプロセッサーを使う。クライアント側もデスクトップからノートPC、そしてタブレットへと主力が動こうとしている。ここでインテルが用意するのが、次世代アーキテクチャーのHaswellというわけだ。
Haswellの大きな目標のひとつは低消費電力化。すでに低消費電力のプロセッサーとしてはAtomがあり、スマートフォンなどでの採用がある。Haswellはその上のタブレットあたりからをターゲットとして、上はハイエンドラップトップまでをカバーする。
なお、現行クラムシェル型が中心のUltrabookには、タブレットにも変形できるコンバーチブル型や、キーボードと分離できるデタッチャブル型を導入されるという。インテルはこうした動きを「Reinventing Mobility」と呼ぶ。HaswellでUltrabookを「再創造」するというわけだ。