Tegra 3搭載で動画性能アップ
バッテリー動作時間は10時間と倍増!
内部に目を向けてみよう。性能的にはSoCの変更が目立つ変更点だ。いろいろと残念な部分の多かったTegra 2から、Tegra 3(1.3GHz)に変わった。その結果、1080pの動画を再生した場合にも、コマ落ちが発生することはなくなり、全体の動作も「吸い付くような」感じに改善されている。これはSoCの動作自体が高速化したことに加えて、タッチパネルに貼られたフィルムの摩擦抵抗の見直しや、タッチセンサー自身の精度向上による効果も大きいのだろう。
Sony Tabletの時代から、ソニーはタッチ精度にこだわっており、それがゆえに標準搭載のスクリーンキーボードは「タッチした時に入力になる」ようになっていた。iOSを含む他のタブレットでは、「離した時に入力になる」のとは好対照だ。タッチ精度が悪いとミスにつながるが、精度が高ければ操作感の向上につながる。今回もその伝統は継続している。
なにより旧機種と大きな差が生まれているのは動作時間だ。スペック上では、バッテリー駆動時間が大幅に伸びている。旧機種は「ウェブブラウズで5時間」とされており、正直短めだった。それがXperia Tablet Sでは、倍の「10時間」になっている。バッテリー容量は5000mAhから6000mAhと、決して倍になっているわけではないので、主に内部的な改良によるものだ。
実際、無線LANで常にインターネットにつなぎ、Twitterクライアント「Twicca」で3分に1度新着をチェックしたうえで、YouTubeのHD映像(720P)を連続再生するテストをしてみた。ディスプレーの省電力設定をオンにした状態で、明るさは自動調整にして約9時間50分。ディスプレーの省電力設定をオフにした状態で、約8時間20分動作した。おおむねスペック通りの結果が得られている。
メインメモリーは1GBで、現状のAndroid端末としては標準的な量。2GBの製品も登場しつつあるが、1GBでもそう見劣りはしない、といったところだろう。ストレージは16GB、32GB、64GBの3バリエーションがあり、64GBモデルが追加された形だ。特に価格面では16GBモデルが4万円程度と、比較的安価に設定されている。音楽や動画を大量に蓄積するのでないなら、16GBモデルを選ぶ、というのがお勧めだ。
他方、やはり気になったのはディスプレー解像度だ。ディスプレーサイズと解像度は、9.4型/1280×800ドットで、旧機種からまったく変化がない。1年前ならそれでもよかったが、今は第3世代iPadに代表される「高解像度モデル」が世に出ている。それらを見慣れた目では、いかにも解像感が足りないように思える。
もちろん、こんなことはソニーも承知だろう。おそらくはパネル解像度よりも、16GBモデルの価格感を優先したのだろう。タブレット普及期である現在、その判断はわからなくはない。ただ、正直残念だ。パソコン以上にタブレットは高解像度の恩恵を得やすく、特に電子書籍サービスをやっているソニーには、その価値をもっと有効に使ってほしかったからだ。
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