単純なスポット数より、そのクオリティーをアピール
ユーザーに使ってもらえない理由を直視して改善
後半はauブランドのさまざまな無線LANサービスについて紹介された。auの公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」のスポット数はすでに10万ヵ所を突破したが、とにかくお客さんに使ってもらうことが重要とし、逆になぜ使ってもらえないか、その理由を直視することにしたとする。
その最大の理由が「電池の持ちが悪化する」、さらには「設定・接続関連」「通信品質」「セキュリティー」とつづいた。設定についてはスマートフォン用にすでに接続ツールが配布されているので、一番の問題がバッテリーだ。
無線LANについて説明を行なった、同社コンシューマ事業企画本部Wi-Fi推進室担当部長の大内良久氏は率直に「Wi-Fiをオンにすると、3Gだけの待受のときより電池の持ちが半分以下になる」と認める。この理由はWi-Fiをオンにすると、周囲にアクセスポイントがないかを探す動作をするためだ。この動作を最適化することで、電池の持ちは約2倍。3Gだけの待受時間と同等レベルにまで向上できるようになるという。
すでにAndroidスマートフォンについては、改善をすすめており、既存モデルも含めて、5月以降にソフトウェアのバージョンアップによって順次対応していくとする。また、このタイミングでは、やはりユーザーからの不満が多い3GとWi-Fiの切替時間も半分以下に短縮する予定だ。
また、au Wi-Fi SPOTのサービスそのものについても、他社サービスに対する優位性があることを示唆する。具体的には、まず2.4/5GHzのデュアルバンド対応。アクセスポイントやWi-Fi以外の干渉であふれている2.4GHz帯ではなく、5GHz帯を用いることで、Wi-Fiを快適に利用できるようになる。auスマートフォンで5GHz帯に対応した製品は限定的だが、夏モデル以降で積極的に採用される予定だ。
つづいては、Wi-Fiアクセスポイントそのものの性能。Wi-Fi機器がある方向に集中的に電波を飛ばす、ビームフォーミング技術に対応したアクセスポイントを採用することで、店舗内で実際にWi-Fiが使えるエリアの広さで強味を持つ。
ユーザーの不満にもあったセキュリティー問題。他社のサービスにはすでに解読が可能になっている「WEP」が用いられているものも多いが、au Wi-Fi SPOTはWPA2-PSK(AES)を利用することで、より強固な暗号化が可能だ。さらには、au Wi-Fi SPOTが利用できるユーザーであれば(パケット定額サービスの「ISフラット」への加入が必要)、auスマートフォン以外にもう1台、PCなどの他の機器からも利用可能なのが、あまり知られていない大きなメリットである。
今年12月に開始予定のLTEなど、今後導入予定の次世代技術などについては語られなかったが、“つながる自由”のキャッチフレーズを実現するために同社が努力していく姿勢について、あらためてアピールしたうえで説明会は終了した。