マカフィーと、防衛と安全保障分野のシンクタンクであるSecurity and Defence Agenda(以下、SDA)は、「サイバーセキュリティー:世界ルールの主たる争点」と題する「サイバー防衛報告書」を発表した。
これは、世界各国のサイバーセキュリティー事情およびサイバー脅威への対策を提示すると共に、今後の見通しを論じたもの。
報告書では特筆すべき所見として、以下のようなものを挙げている。
- 世界の専門家の57%は、サイバースペースで軍拡競争が起こっていると考えている
- 36%は、サイバーセキュリティーはミサイル防衛よりも重要であると考えている
- 43%は、サイバー攻撃によってもたらされる最大の脅威の1つは、重要インフラの破壊または混乱であり、その経済的な影響は広範囲におよぶと認識している(マカフィー「重要インフラレポート2010」の37%から増加)
- 45%は、サイバーセキュリティーは国境警備と同じくらい重要であると考えている
- 米国やオーストラリア、英国、中国、ドイツ、日本などのサイバー防衛態勢は、イスラエル、スウェーデン、フィンランドといったより小規模な国家よりも下位にランクされている(レポートでランク付けされている国は23ヵ国)
また、報告書が指摘する上位6つの対策は以下の通り。
- リアルタイムでの世界的な情報共有
- 民間部門と公共部門の両方で、セキュリティー分野の重要な技術改善を図るための報奨金の設定
- 国際的なサイバー犯罪と戦うために、法執行機関に、より大きな権限を与える
- ベストプラクティスに基づいた国際的なセキュリティーの規範を策定
- 世界的なサイバー条約が直面している外交面の課題の解決
- 一般市民を支援するための、現在のプログラムを超える意識改革キャンペーン
サイバー防衛報告書は、CAMM(Common Assurance Maturity Model)やCSA(Cloud Security Alliance)といった、情報とベストプラクティスを共有するための機関を設立することによって、産業界の利害関係者の間で信頼関係を築くことが重要であると指摘。
インタビューに応じた専門家たちは、スマートフォンやクラウドコンピューティングの登場によって、相互接続や国家主権が絡んだ、まったく新しい問題が出現し、新しい立法措置や発想が必要とされる状況が起こってくるという点で同意している。
サイバー防衛報告書では、サイバー攻撃に対する防衛レベルを基準に各国政府を格付けし、サイバーセキュリティーの意義、そしてそれを確保するための手段について、多くの異なる意見を反映させることを目指している。