スマホの普及による影響か?
早くもマイナス成長になろうとしているPND市場
日本でもすっかりおなじみになった、簡易カーナビのPND(Portable Navigation Device)は、2000年に入って登場した、どちらかというとまだ新しい市場だ。だが、携帯電話の世界を変えてしまったスマートフォンは、PNDも脅かしつつある。
PND市場は2011年はすでにマイナス成長が見込まれており、今後も緩やかに下降線をたどると予想されている。PNDは今後どうなるのか? 市場は消えてなくなってしまうのか? ドイツ・ベルリンで6月に開催された「Navigation Strategies Europe 2011」で聞かれた関係者の見通しや見解をまとめたい。
調査会社ABI Researchの上級アナリスト、Patrick Connolly氏は、「PND市場には現在、ポジティブな要素がない」という。最大の要因はスマートフォンだ。Google Mapsはもちろん、スマートフォン用のナビアプリケーションをインストールすれば、かなりことを代用できる。さらには、スマートフォンには電話やインターネットなど、PNDにはない機能もたくさんある。
このままでは市場自体が消滅してしまいかねない状況に
そうでなくても、電話である以上スマートフォンユーザーはほぼ例外なく車に自分のスマートフォンを持ち込んでいるはずだが、Deutsch Telekomによると、持ち込むだけでなく40%以上が実際に車内でスマートフォンを利用しているという。モバイル端末という意味では、スマートフォンだけではなく、タブレットも台頭している。これらに追い討ちをかけるように、欧米では通信事業者や端末メーカーがナビアプリをバンドルしており、PNDを取り巻く状況はさらに悪化しそうだ。
実際アメリカではPNDの買い替え需要が落ち込みを見せている。ABI Researchの調べでは、PND所有者の半数近くが「アップグレードや買い替えの予定はなし」と回答している。新興市場で安価なPNDが売れはじめたとはいえ、「成長市場でのマイナスを補填するレベルではない」「このままいくと、消滅も考えられる」とConnolly氏は語る。それほどPNDは危機的な状況にあるというのだ。
PNDは2010年に約3600万台を出荷したが、Connolly氏は2016年には2200万台レベルまで落ち込むと予想している。市場を反映するかのようにPNDメーカーの統合も進んでおり、先日も大手のアメリカのGarminがライバル企業であるドイツのNavigon買収を発表したところだ。