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スマホがPNDを殺すのか?――生き残りを模索するPND業界

2011年07月21日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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スマホの普及による影響か?
早くもマイナス成長になろうとしているPND市場

 日本でもすっかりおなじみになった、簡易カーナビのPND(Portable Navigation Device)は、2000年に入って登場した、どちらかというとまだ新しい市場だ。だが、携帯電話の世界を変えてしまったスマートフォンは、PNDも脅かしつつある。

PNDベンダーの代表格であるTomTomは通信機能を持つPNDのリリースで生き残りを図る

 PND市場は2011年はすでにマイナス成長が見込まれており、今後も緩やかに下降線をたどると予想されている。PNDは今後どうなるのか? 市場は消えてなくなってしまうのか? ドイツ・ベルリンで6月に開催された「Navigation Strategies Europe 2011」で聞かれた関係者の見通しや見解をまとめたい。

 調査会社ABI Researchの上級アナリスト、Patrick Connolly氏は、「PND市場には現在、ポジティブな要素がない」という。最大の要因はスマートフォンだ。Google Mapsはもちろん、スマートフォン用のナビアプリケーションをインストールすれば、かなりことを代用できる。さらには、スマートフォンには電話やインターネットなど、PNDにはない機能もたくさんある。

ABI Researchの上級アナリスト、Patrick Connolly氏

このままでは市場自体が消滅してしまいかねない状況に

 そうでなくても、電話である以上スマートフォンユーザーはほぼ例外なく車に自分のスマートフォンを持ち込んでいるはずだが、Deutsch Telekomによると、持ち込むだけでなく40%以上が実際に車内でスマートフォンを利用しているという。モバイル端末という意味では、スマートフォンだけではなく、タブレットも台頭している。これらに追い討ちをかけるように、欧米では通信事業者や端末メーカーがナビアプリをバンドルしており、PNDを取り巻く状況はさらに悪化しそうだ。

Androidのマップアプリには機能や精度こそ、単体のPNDに劣るものの、無料で使えるナビ機能が用意されている

 実際アメリカではPNDの買い替え需要が落ち込みを見せている。ABI Researchの調べでは、PND所有者の半数近くが「アップグレードや買い替えの予定はなし」と回答している。新興市場で安価なPNDが売れはじめたとはいえ、「成長市場でのマイナスを補填するレベルではない」「このままいくと、消滅も考えられる」とConnolly氏は語る。それほどPNDは危機的な状況にあるというのだ。

PND市場は縮小が予想されている。アプリストアから入手するアプリが急増、キャリアによるアプリバンドルもゆるやかに増加し、「ナビアプリがPND市場を侵食する」とABI Researchはみている

 PNDは2010年に約3600万台を出荷したが、Connolly氏は2016年には2200万台レベルまで落ち込むと予想している。市場を反映するかのようにPNDメーカーの統合も進んでおり、先日も大手のアメリカのGarminがライバル企業であるドイツのNavigon買収を発表したところだ。

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