ケータイ情報サイトで経営陣を批判する
現役社員からの訴えが掲載される
そんな折、RIMの経営陣宛の公開書簡が発表された。これは携帯電話情報サイトのBGR MediaがRIMの社員から受け取ったとするもので、BGR側は送り主を確認しているという。書簡ではまず、社内でのモチベーションが下がっているという告白から始まり、再起のための提案として、「エンドユーザーエクスペリエンスへのフォーカス」「ソフトウェアを率いる新しい責任者の必要性」「プロジェクトの絞込み」「キャリアではなく開発者へのフォーカス」「マーケティング強化」など、8つのポイントを挙げている。
どれもNokiaと重なるもので(Nokiaの場合は、CEOが自ら社内メモとして自分たちを「(焼け死ぬか、水に飛び込むかの)がけっぷちに立たされている」とたとえた)、これまでとは違う土俵で戦うことが難しいという苦悩が見て取れる。
新規のOSとタブレット型端末で復活できるか
課題の1つとなるプラットフォームでは、Nokiaは結局「Windows Phone」採用のためにMicrosoftと提携したが、RIMは2010年4月に買収したQNX Software Systemsが鍵を握る可能性がある。RIMはまず、タブレットのPlayBookでQNXを採用。今後スマートフォンでも採用する可能性がある。
PlayBookの数値については意見が分かれるところだが、QNXについてはアナリストの反応は悪くない。もしRIMがQNXをスマートフォンで採用する場合は、これまでのユーザーを失わずに拡大(または移行)できるか、後方互換性をどうするかなどの課題があり、Nokia同様にスムーズかつ短期間にこのプロセスを乗り切れるかで明暗を分けそうだ。
なお、RIM側はこの公開書簡について、「(匿名として公開された)書簡が本物か、偽物か、誇張されたものかはわからないが」としながらも、「経営陣は自社の課題とチャンスを認識しており、積極的に対応している」と回答している。具体的な対応策については記していないが、アメリカでは成長が鈍化したが、そのアメリカ以外の市場での売上が増加している点を強調している(これも、一時期のNokiaと重なる部分だ)。
BGRはその後、元社員と現社員の2通の書簡を公開している。2通とも、社風についての生々しい批判が入っており、たとえば、貧弱な執行プロセス、紙ベースの作業を好む古い体質のAT&T出身者が多数いることなどを書き綴ったものだ。BGRによると、最初の公開書簡を受け、RIM関係者から複数の手紙を受け取った中の2通という。
RIMはJim Balsillie氏とMike Lazaridis氏による共同CEO体制を20年近く続けてきた。このところ株主からの共同CEO体制に対する批判も高まっており、今回の公開書簡で一部社員の不満も明らかになった。RIMがどう改革を進めるのか、Nokiaの動向と比較して注目される。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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