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十二支/干支の歴史

2010年12月26日 20時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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十二支

 十二支とは、子/丑/寅/卯/辰/巳/午/未/申/酉/戌/亥の総称である。日本では、鼠/牛/虎/兎/竜/蛇/馬/羊/猿/鶏/犬/猪の12の動物(十二支獣)をあてて呼ぶ。中国や韓国、東南アジア諸国でも同様に動物が割り当てられ利用されているが、国によって動物が微妙に違っている。

十二支
- 読み方 十二支獣
鼠(ねずみ)
うし 牛(うし)
とら 虎(とら)
兎(うさぎ)
たつ 竜(りゅう)
蛇(へび)
うま 馬(うま)
ひつじ 羊(ひつじ)
さる 猿(さる)
とり 鶏(にわとり)
いぬ 犬(いぬ)
猪(いのしし)

 十二支がいつ頃できたのか定かではないが、中国の殷の時代(紀元前17世紀頃〜紀元前11世紀)の遺跡から発見された甲骨文に、十干と十二支を組み合わせ60を周期とする六十干支(十干十二支)表があり、「日」を示す方法として利用されていたようである。

 古代中国の天文学においては、木星が約12年(11.86年)で天球を1周することから、天球を西から東に12分割(十二次)し、毎年度における木星の運行/位置を示した(歳星紀年法。歳星は木星を指す)。

 また木星は西から東に向かって移動するため、木星の反映とする仮の星「太歳」を設け、これが東から西に移動することにした。天球を東から西に十二分割し太歳の運行/位置を表わしたものを「十二辰」と呼び、各辰には十二支が名称として割り当てられた(太歳紀年法)。

 その後、十二辰と十干と組み合わせて大歳が記録されるようになり、さらに後漢(西暦25年〜220年)時代に太歳と関係なく十干十二支によって「年」を記述する干支紀年法が使われるようになった。

 当初十二支は、単に順序を表わす数詞として利用されていたと考えられているが、紀元前262年生まれ、紀元前217年に死去したらしき秦の官吏の墓から見つかった竹簡群「睡虎地秦簡」(雲夢秦簡)において、12種の動物が割り当てられていることが発見された。また、当時割り当てられていた動物は、現在のアジア圏で普及している十二支獣とはいくつか違うようである。

 十二支に対して動物が配置されるようになった理由は、天体観測に基づいて正しい暦(太陰太陽暦)を国民に授けることは天子の義務および特権という考え方から、歴代王朝が採用した暦を周辺の未開地や字を読めない人々に知らしめるため、覚えやすい動物名を配したとされている。

干支(えと)

 干支は、十干(甲/乙/丙/丁/戊/己/庚/辛/壬/癸)と、十二支により構成される。「えと」という呼び名は、陰陽五行思想における十干の兄(え/陽)、弟(と/陰)という考え方に由来する。

十干
-
読み方 こうおつへいていこうしんじん

 陰陽五行思想では、天地間の万物を作り出す陰と陽の二気の存在、また森羅万象に影響する五行(木/火/土/金/水)の精気の盛衰が唱えられており、これが十干十二支と結び付いたとされている。十干と十二支にそれぞれ陰陽が設定され、陽干(幹)と陽支(枝)、陰干と陰支が組み合わされる。

 例えば木の兄(きのえ)は「甲」で、木の弟(きのと)は「乙」、火の兄(ひのえ)は「丙」、火の弟(ひのと)は「丁」となる。これをさらに十二支の陰陽と合わせると、甲子(きのえ ね)、乙丑(きのと うし)、丙寅(ひのえ とら)、丁卯(ひのと う)などとなる。

十干および陰陽
五行
十干 陽(兄/え)
読み方きのえひのえつちのえかのえみずのえ
陰(弟/と)
読み方きのとひのとつちのとかのとみずのと
十二支および陰陽
十二支
五行
五行

日本への渡来

 日本では、西暦553年ごろ、百済を介して中国歴(太陰太陽暦)の元嘉暦が伝わっていたことが分かる記述が「日本書紀」に掲載されている。

 1765年に大小暦(絵暦)と呼ばれるカレンダーが流行し、年初に大小暦の会が開催されるようになった。十二支獣のほか、歌舞伎役者を描いたものが交換されたり、贈り物に使われたりしたようである。

 特に有名なものは、旗本の大久保甚四郎と阿部八之進、薬種商・小松三右衛門が浮世絵師・鈴木春信に依頼し、贅を尽くし作成された多色刷りの大小暦で、「東錦絵」(吾妻錦絵)として人気となった。さらに、暦部分をなくして絵の部分のみとしたものが、純粋な浮世絵錦絵として出版されるようになった。

 また、文字を読み書きできない者向けに作成された絵暦「南部絵暦」(田山暦および盛岡暦)において、「月」を表わす十二支獣が掲載されている。1783年の田山暦、1830年の盛岡暦が現存している。

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