柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第36回

年額9800円のMobileMeをお釣りが来るほど使い倒す技

メールとブックマークも同期できるが……

　MobileMeのアカウントを取ると、「ユーザー名@me.com」というメールアドレスがもらえる。メールボックスとして利用できる容量は30MB～20GBの間で設定でき、初期設定は10GB。IMAP方式を採用しており、送受信メールはサーバーに保存されたままなので、複数デバイスで同じメールデータを利用できる。

アカウントの設定画面で、ネットストレージの20GBの中からメールボックスのサイズを変更できる

　メールのフィルタリングや迷惑メール除去機能を備えており、最大5つまでのメールエイリアスを作成して、メールアドレスを使い分けることも可能だ。仕事でメールする場合、プライベートなアカウントで返信するのは気が引けるが、2010年6月のアップデートで、「@me.com」以外のメールアカウントを利用してメールを送れるようになった。

　ただし、MobileMeのメールアカウントは、1通当たり20MBまでしか送受信できない。自分からこのサイズを超えるファイルを送る場合は、クラウド上のストレージやファイル転送サービスを利用すればいい。だが、相手先から巨大な添付ファイルが届くこともあるので、これでは困る。

　しかも迷惑メール対策だと思われるが、1日に送信できるメッセージ数が200通まで、送信先は1000件まで、各メッセージごとの送信先は100件までという制限もある。筆者は独自ドメインのメールを利用しているからいいが、1日に200通以上はメールを送っているので、この制限ではMobileMeにメールを移行するのは難しい。

　ウェブブラウザーのブックマークは、SafariかIE8と同期できる。これらのウェブブラウザーを主に使っているなら、便利に利用できるだろう。筆者はFirefoxを使っていたので、連載33回で紹介した「Xmark」というサービスを利用してIE経由で同期していた。

　しかし、33回が公開されてまもなく、「2011年1月10日にサービスを終了するかもしれない」というアナウンスが出された。そのため「はてなブックマーク」のような、ソーシャルブックマークサービスに本格移行しようかどうか検討中だ。

　MobileMeはFirefoxでの動作をサポートしているのだから、Firefoxのブックマークとも同期できるようになってほしいものだ。

iPhone・iPadのアプリで
ギャラリーとiDiskを活用する

　「ギャラリー」には写真や動画を保存でき、アルバムのように管理できる。iPhoneとiPad用のアプリも公開されているので、大量の写真をクラウド経由で閲覧できるのだ。ネット接続が遅いと表示に時間がかかるものの、iPhoneやiPadのメモリー容量を圧迫しないというメリットは大きい。

　写真共有サービスの「Flickr」も同じような感覚で利用できるが、月間のアップロード制限をなくすなら年額24.95ドル(約2000円)かかる。有料プランだと無制限に保存できるようになるが、一般的な用途ならMobileMeの20GBでも十分だろう。

パソコンからまとめて画像をアップロードできる

iPhoneで写真を鑑賞。スライドショーも可能だ

　「iDisk」はさまざまなファイルを保存できるクラウドサービスだ。ドキュメントや動画、音楽、写真などを大量に保存しておける。メディアファイルの再生やドキュメントファイルのプレビューも可能。ファイルをダウンロードするためのURLをメールで送信することもでき、ファイル転送サービスとしても活用できる。

iPadのiDiskアプリでPDFファイルを表示してみた。アプリ上では30MB以上のPDFファイルを表示できないのが残念(共有は可能)

　「Dropbox」のようにパソコン上の特定フォルダーを自動で同期したりとか、「Evernote」のように充実した検索機能があるわけではないが、ファイルの保存場所として使うなら問題ない。容量も20GBと余裕なのもうれしいところだ。Dropboxの50GBプランは月額9.99ドル(年間119.88ドル、約9600円)、同種のファイル保存サービス「SugarSync」だと、30GBで年間49.99ドル(約4000円)かかる。「Skydrive」は無料で25GBの容量を利用できるが、肝心のiPhone/iPad用アプリがない。

「iMovie」アプリから直接MobileMeにデータを保存できる