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デジタルパブリッシングフェア2010レポート

日本企業に勝ち目はあるか? 電子書籍戦争、秋には開戦へ

2010年07月09日 12時00分更新

文● 盛田諒/ASCII.jp編集部

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深く狭く、楽しみをプラス ラブプラスじゃございません

 つづいては「Fan+」(ファンプラス)という新たなサービス。つくったのはNTTプライム・スクウェアという会社だ。

 2月にできたばかりのこの企業、角川グループとNTTグループの両社が出資したもの。指揮を執るのは浜村弘一氏を取締役にデジタルコンテンツの窓口となる角川コンテンツゲート社と、NTTの情報通信部門を担当するNTTインベストメント・パートナーズ社だ。

 さてファンプラス。これは文字も読めれば、ビデオも見られ、インターネットにもつながる「リッチコンテンツ」による新しい形の電子書籍を、売ったり買ったりする場所を与えるもの。リッチコンテンツの楽天市場みたいなものと考えればわかりやすい。

好きなゴルファーのスイングを選りすぐったDVDのように見ることもできる

コンテンツをつくるのは、出版社でもゲーム会社でも、映画制作会社でもかまわない。要はリッチコンテンツさえつくれればどこでもいいという。そのコンセプトは「深く、狭く」。コンテンツに全部をつめこむことで、1つのジャンルをとことん楽しんでもらいたいという、まさに「オタク至上主義」的なものだ

 たとえばゴルフが好きな人がいるとする。好きなゴルフライターの記事はじっくり読みこむ。自分でゴルフをやりたければ動画を見ながらスイングの練習をする。ほしくなったゴルフクラブをネットショップで買う。そのすべてが「1冊」でかなうわけだ。

 コンテンツの購入はクレジットカードのほか、ケータイの課金システムも利用できる。サービスは10月、やはり秋だ。グラビア、映画、鉄道といったジャンルを中心に、現在、30社あまりがコンテンツの提供に名乗りをあげているという。


電子書籍の日本製YouTube mixPaper

 お次は「mixPaper」というインターネットサービス。

 運営しているのは株式会社ファンタジスタと株式会社ピーアンドエム。やはり共同事業だ。専任社員はわずか6名。その彼らに言わせれば「電子書籍版のYouTube」。本のデータを画像としてとりこみ、めくって読める形にするのがmixPaperなのだ。

ジャンルはマンガ、旅行雑誌、小説にエッセイなど、なんでもござれ。YouTubeと同じように自動的に「広告」がポップアップする。500円払えばそれを消せるというしくみだ

マンガのまとめ買いができることで、ネットユーザーからの支持も高い「漫画全巻ドットコム」も試し読みはmixPaperを使っている。かなりの人が購入しているのだとか

 いまは投稿された電子書籍すべてを出している形だが、9月以降にサービスインを予定しているのが「mixStore」。インターネットに掲載する枚数を限定し、あとは電子書籍で販売できるようになる。購入方法はFan+とほぼ同じだ。

 パッと見たところ、「電子書籍のYouTube」と公言していることからも、Googleブックにかなり近い印象を受ける。ただし、旅行会社がパンフレットのデータをそのまま掲載したりといった使い方は、グーグルにはないおもしろい特徴の1つだろう。


ソーシャルじゃない電子書籍なんてありえない ジニオ

 海外勢はグーグルだけではない。もう1つ大きな企業が「Zinio」(ジニオ)だ。アメリカ発祥のジニオは、National GeographicやELLE、The Economistといった大物雑誌を次々と引っ張りこんだ電子雑誌業界のカリスマ的存在だ。

 リッチコンテンツにも対応し、広告には動画も入る。ふんわりしたマスカラの印象など女性向けの広告はビデオで伝わるものも多い。ただしiPadなどのモバイルガジェットではリッチであることはもちろん「読みやすいこと」にもこだわったという。

きらびやかな広告も動画で入る

 そんなジニオがユニークなのは「ソーシャル」なこと。たとえばジニオでELLE誌を読んでいて、うつくしいモデルを見つけたとする。そこの画像を切り取って、ツイッターで「この人やっべーきれい!」とURL付きでコメントできるようになっているのだ。

 そのURLをクリックした人は、その画像を見られる。それはタダだ。ただし、そこから雑誌全部を読みたくなったら買ってくださいね――と、そういったしくみになっている。「電子書籍でそれくらいできないと、ありえませんよね」と担当者は笑った。

ノートサービス「Evernote」のように、ジニオ内でスクラップボードをつくっておける。まさに「お気に入りに入れる」感覚

ショートカットメニューから様々なシーンで「引用発言」できる

 日本では及び腰になりがちな、オープンソーシャルスタイルが定着した電子雑誌。こちらも日本でのサービスインは今年の秋。日本ではソニーが協力に名乗りを上げている。日本の雑誌社がどういった反応を示すのか、注目だ。

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