NTTドコモと大日本印刷は、携帯端末向け電子出版ビジネスにおいて業務提携に向けての基本合意にいたり、都内でその内容について記者会見を行なった。
基本合意の内容については多岐にわたるが、注目は共同事業会社の設立とともに、同社が10月末から11月頭に電子書店をオープンする点だろう。
ドコモ側の代表として檀上に立った、NTTドコモ 代表取締役副社長の辻村清行氏は「リアル×電子」「オープン×マルチ」をキーワードとし、大日本印刷が持つリアル/ネット/電子の各書店運営と連携することで「ハイブリッド型の新しい読書文化を作っていきたい」と意気込みを語った。
またマルチデバイス、マルチフォーマットも重要とする。これまでのケータイに加えて、スマートフォンやタブレット型端末、電子書籍専用端末などさまざまなデバイスに対応するのと同時に、書籍のデジタル化については1つの方式にこだわるのではなく、複数のフォーマットが使えるようにしたいとした。
なお、10月末のオープン時にはまずスマートフォンから対応する。ドコモが今年の冬モデルにおいて7機種のスマートフォンを用意しているということについてはASCII.jpでも報道しているが(関連記事)、そのうちの1機種については電子書籍専用端末であり、年末から年初の発売を予定しているとのことだ。なお、通常のiモード端末はやや遅れて、来年の3月末から4月頭の対応を予定する。
質疑応答では事業目標について問われ「現状の出版ビジネスは3~4兆円くらい。このうち2~3割くらいは電子コンテンツに移行するのではないか。(今回設立する共同事業会社は)数百億くらいだろう」と回答。また電子書店についてはオープンな方向性を意識している。当初はドコモの端末が中心になるが、「電子書店にアクセスする回線は他社の回線でもいいと考えている」とし「将来的にはiPadだとか、auさんの端末だとか、キャリアをまたがるオープン性を考えている」との発言もあった。
またソニー、KDDI、凸版印刷、朝日新聞が共同で設立した事業会社については、大日本印刷側からの「正直よくわからない」という回答のあとで、辻村氏は「電子出版ビジネスはまだまだ黎明期で、色々なところが手を挙げて電子書店をオープンしようとしてる最中。いずれは適切な数に収斂していくのではないか」と電子出版ビジネスが始まったばかりであることを強調しつつも、「電子書籍でも1位を狙っていきたい」と意欲を見せた。