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2011年度スタート!樋口社長が新年度経営戦略を説明

自己否定になってもクラウドに邁進するマイクロソフト

2010年07月07日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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マイクロソフトは7月6日、7月1日からの同社新会計年度(2011年度)の経営戦略について説明を行なった。Windows 7とOffice 2010というPC分野での目玉製品のリリース直後でもあり、大きな新製品の発売は予定されないこともあってか、クラウドへの取り組みが全面的に押し出される形となった。

“We are all in.”の意味

マイクロソフト 代表取締役社長の樋口 泰行氏

 マイクロソフトの会計年度が7月~6月だということで、「恒例」だという「2011年度 経営方針」の説明会が開催された。登壇した同社の代表取締役社長の樋口 泰行氏は、まずはちょうど1年前に発表した2010年の経営方針を振り返り、その成果を確認するところからスタートした。

 2010年度はWindows 7/Office 2010という大きな製品のリリースタイミングに当たっていたこともあって、1年前に「2010年度は飛躍の年と位置づけていた」ことを再確認。同氏は、その結果として「Windows 7は大変好評を博しており、過去のOSの中でも最高のペースで普及している」「今年中には普及率が全インストールベースの10%に達することを目指している」「Office 2010は、前バージョンである2007に比べて2倍の勢いで店頭で売れている」といった状況を報告し、予測通りに「飛躍の年」となったことを示した。

飛躍の年となった2010年を振り返る

 続いて同氏は、2011年度が社長就任から3年目になることに触れ、その間に取り組んだ改革について簡単に振り返った。同氏が社長に就任した時点では、「社内は部署間の壁も厚く、部署間を超えた“One Team”としての戦略の議論もあまりされていなかった」という。そこに対して、「“One Team”のスピリットを持つ」などの意識改革に取り組み、「基本動作の徹底」として「四半期ごとの目標をきっちり達成できる姿勢/体制にまずする」という目標を掲げたという。それを踏まえ、2011年度からは「四半期ごとにきっちりというところは維持しつつ、日本市場で正しいことをやっていく。四半期ごとの短期の数字の積み重ねだけでは本当に長期的に正しいことができるかというと、必ずしもそうではない」として、中長期的な視点に立った取り組みも強化する考えを明らかにした。

樋口氏が社長就任してから3年の改革と中長期的視点になった取り組み

 また、「2011年度の一番の力点」だと位置づけたのが「クラウドへの取り組み」だ。同氏はワールドワイドで社内で“We are all in.”というスローガンを使っていることを紹介し、その意味を「みんなでよってたかって頑張ろう。これ(クラウド)に賭けよう」ということだと語った。同氏は一方で、「これまでオンプレミスベースでビジネスを展開してきたので、自己否定的な側面もある」としつつも、「オンプレミスの資産を踏まえ、オンプレミスとクラウドを連携していく」という同社ならではのクラウド戦略を強調した。さらに、具体的な目標として同氏は「2011年度中にオンプレミスとクラウド/オンラインサービスの売上を同程度にしていく」とした。

自己否定的な側面を認めつつ、2011年はクラウドに注力する

「日本マイクロソフト」への社名変更

 経営戦略に加え、2011年2月1日付けで行なわれるいくつかの変更についても発表された。これは、マイクロソフト日本法人が1986年2月に設立されたことから、来年の2011年2月でちょうど設立25周年を踏まえたもの。まず、現在新宿駅南口に置かれている本社を2011年2月1日付けで品川に移転する。あわせて国内5カ所に分散しているオフィスの集約も行ない、移転後は品川本社、大手町テクノロジーセンター、調布技術センターの3拠点体制となる。

 同じく2011年2月1日付けで、日本法人の社名が「マイクロソフト株式会社」から「日本マイクロソフト株式会社」に変更される。これは、同社が掲げる「目指すべき企業像」の1つである「日本社会に根ざし、良き企業市民として、社会に貢献できる企業」という理想の反映だという。

設立25周年を迎えて、本社を移転。さらに社名も「日本マイクロソフト」へ

 クラウドへの注力と相まって印象的だったのは、企業向けのソリューションビジネス分野におけるパートナー重視の姿勢だ。国内でエンタプライズITビジネスに取り組む上では、有力なパートナーとの密接な連携が不可欠となるが、マイクロソフトがこの分野に本格的に取り組むとなると、社名変更と合わせて、いよいよ「パソコンソフトの会社」というイメージが過去のものになると思われる。

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