このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

ゼロからはじめるバックアップ入門 第3回

意外と知らない両者の違いを理解せよ

フルバックアップと増分バックアップは何が違う?

2010年06月10日 09時00分更新

文● 伊藤玄蕃

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

バックアップはスケジューリングしよう

 「最後にバックアップした時点のデータしか取り戻せない」。これはバックアップの鉄の掟である。毎週日曜日にバックアップをしていても、金曜日の夕方にシステムがクラッシュした場合、月曜日から金曜日までに更新されたデータは取り戻せない。バックアップを確実に行なうには、オンラインサービス時間が短い休日などにフルバックアップを行ない、バックアップの時間をあまりとることができない業務日には、差分または増分バックアップを実行するのが一般的である(表1)。

表1 スケジューリングの例
曜日業務開始業務終了停止時間バックアップ手法所要時間
土曜日8時21時35時間フルバックアップ15時間
日曜日(休日)(休日)
月曜日8時21時11時間差分バックアップ1時間
火曜日8時21時11時間差分バックアップ2時間
水曜日8時21時11時間差分バックアップ3時間
木曜日8時21時11時間差分バックアップ4時間
金曜日8時21時11時間差分バックアップ5時間
土曜日8時21時35時間フルバックアップ15時間
日曜日(休日)(休日)

 このような一連のバックアップを確実に実行するには、あらかじめ設定されたスケジュールに沿って自動的にバックアップ処理を実行するスケジューリング機能を使うのが一般的だ。OS標準のスケジューリング機能(Windowsであればタスクスケジューラー、UNIX系ではcronなど)も使えるが、商用バックアップソフトのスケジューリング機能のほうが、きめ細かな設定ができたり、バックアップ処理の起動条件を時間以外に設定できるなど、使いやすくなっている。

 特に前後の処理の結果との依存関係があったり、年次・月次・週次・日次のバックアップが複雑に入り混じったスケジュールであれば、直感的かつ柔軟に設定できるGUIを持つバックアップソフトを選ぶようにしよう。

そのほかの機能

1.オープンファイル/データベース対応

 OS標準のバックアップツールでは、使用中のファイル(オープンファイル)や、オンライン中のデータベースをバックアップすることはできない。バックアップ対象のボリューム(ディスク)に、そういったファイルがあれば、処理をスキップするか未使用状態になるまで待つかのどちらかである。しかし、商用バックアップソフトには、SQL Server や Oracle などの著名なデータベース、あるいはExchange Server などのメッセージングソフトのデータを、オンライン中にバックアップする機能をもつ製品がある。また、リカバリ処理も、ファイル単位・テーブル単位あるいはユーザー単位で、オンライン中に実行可能な製品もある。

2.圧縮機能

 バックアップメディアの量は、書き込まれるデータの量に比例する。そこで、ほとんどのバックアップソフトには、バックアップ対象のデータを圧縮して、メディアに書き込むデータ量を削減する機能が実装されている。バックアップしたデータは完全に復元する必要があるので、可逆圧縮方式のZIPやgzipなどが使われる。ただし、メディアのドライブがハードウェア圧縮に対応している場合は、そちらのほうが高速なため、バックアップソフトの機能は自動的に解除されることがある。

3.暗号化機能

 テープに代表されるバックアップメディアは可搬性があり、外部へ流出しやすく、盗難や不正持ち出しが情報漏えいの原因となったケースが多数あった。個人情報保護法の施行などにより、情報漏えいの問題が一般に重要視されるようになり、バックアップデータの暗号化が商用バックアップソフトでは必須の要件となっている。多くのバックアップソフトでは、処理速度、および特定少数の人間しか扱わないという点を考慮して、AESやCASTなどの共有鍵暗号を採用している。

4.ロギング機能・アラート(通報)機能

 バックアップソフトは、バックアップおよびリカバリの処理結果をログファイルに記録する。ログには、ファイル単位、ボリューム単位で処理結果・処理対象データ量(バイト数・クラスタ数など)や処理開始/終了の時間が記録される。また、処理に失敗した場合にはエラーの内容まで記録される。商用バックアップソフトでは、これらをHTML形式で保存してWebブラウザから閲覧できるようにしたり、全部あるいは一部をメールなどで通知することもできる。

 特にエラーが発生した場合には、管理者に処理対象(ファイル名・DBのテーブル名・ボリューム名)をメールで通知すると同時に、パトライトを鳴動させてオペレータにも警告する、といったことができるソフトもある。

 次回は、バックアップのもう1つの構成要素である、バックアップメディアについて説明する。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • アスキー・メディアワークス
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
  • アスキーの本と雑誌
  • 電撃オンライン - 電撃の総合ゲーム情報&雑誌情報サイト!
  • 電撃ホビーWEB - 電撃のホビー雑誌・書籍&ホビーニュースサイト
  • 電撃文庫 - 電撃文庫&電撃文庫MAGAZINEの公式サイト
  • 電撃屋.com - 電撃のアイテムを集めた公式ショッピングサイト!