複数台のパソコンをインターネットにつなぐには、ブロードバンドルーター(以下ルーター)が必要だ。しかし、多くの人が使っている機器のわりに、アカウント情報や接続先を入力すれば簡単にネットにつながってしまううえ、普段は存在を意識しない機器なので、その能力が使いこなされていないことが多い。
現在市販されているルーターなら、ネット接続以外にもさまざまな機能を備えている。きちんと設定していないルーターは、潜在能力の1~2割しか使っていないようなものだ。ルーター設定の極意を学べば、残りの能力も活用できるようになる。今回はルーターの活用法を紹介しよう。
設定を見直して無線通信速度を向上させる
ネット接続に光回線を使っていても、無線LANがボトルネックになって宅内の通信速度が出ないこともある。せっかくの高速回線の利便性を享受するためにも、無線LANの通信速度は最大限に発揮させたい。
とはいえ、無線LANは規格が多数あるうえ、それぞれに複数の動作モードがあったりして、把握しにくい。しかし、自分が使っている機器の性能を引き出したいなら、再度設定をチェックしよう。今回はNECアクセステクニカのブロードバンドルーター「Aterm WR8700N」を例に説明する。
その1 マルチSSID機能で11nも利用する
周知のとおり、一般的な無線LAN規格としては、IEEE 802.11a/b/g/nが使われている。11bは最高速度が11Mbps、11a/gは54Mbps、11nは300Mbpsとなっている。最新の無線LAN機器やノートパソコンは11nに対応しているが、携帯ゲーム機や古いノートパソコンでは、11b/gしか対応していないものも多い。
かつてのルーターでは、無線LANの動作モードはひとつしかなく、機器にあったモードを指定しなくてはならなかったので、これらのゲーム機などを利用するには、無線LANを11b/gに設定しなければならなかった。しかし、「マルチSSID」機能を備えているルーターなら、1台で2つのアクセスポイントを利用できる。ゲーム機などは11bのアクセスポイントにつなぎ、ノートパソコンは高速な11nで接続するわけだ。
11nなら高速通信が可能なうえ、強固なセキュリティがかけられるので安心だ。もし、なんとなくで11bや11gを利用しているなら、ルーターの機能をチェックしてみよう。
その2 電波状態のよいチャンネルを利用する
日本国内の無線LANルーターは、2.4~2.5GHz帯と5.15~5.35、5.47~5.725GHz帯の電波を利用している。さらに、この周波数帯は複数のチャンネルに区切られており、ルーターに設定されたチャンネルで接続するようになっている。どのチャンネルで接続しても本来なら速度に差はないのだが、電波の届く範囲内で同じチャンネルを利用した他の無線LAN機器がある場合は干渉が起きて速度が落ちる場合がある。無線LANの速度が遅いと感じているなら、チャンネルを変更すると改善するかもしれない。
通信状態が改善するまで適当にチャンネルを変更してもいいのだが、きちんと設定したいなら電波状態をチェックしよう。周囲の無線LANアクセスポイントを調査するなら、「inSSIDer」がお勧めだ。近くで使われている無線LAN機器の接続状況を詳細にモニターできるので、これを見て空いているチャンネルに設定を変更すればいい。集合住宅などでは、完全に空いているチャンネルは見つからないことも多い。その場合、利用しているユーザーが比較的少ないチャンネルに設定しよう。
無線LANユーザーの多くは2.4GHz帯を利用し、5GHz帯は意外と空いているものだ。そこで、接続する機器が対応しているなら、5GHz帯の11aもしくは11nを利用しよう。チャンネルの干渉がなければ、驚くほど通信速度が向上するはずだ。また最新のルーターには、電波状態のいいチャンネルを自動的に利用する機能を備えている製品がある。その場合は、常にいい電波状態で通信できるので、必ず有効にしておきたい。
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