やっとインテルチップセットのロードマップが終わって、さて次はAMD……というところで、編集氏より「一度CPUとチップセットのコード名をまとめてほしい」というオーダーが入った。確かにコード名と製品の関係はわかりにくい。
以前はまだ、コード名と製品名が一致していたし、ひとつのコード名が複数の製品にまたがる事はあっても、1シリーズに複数のアーキテクチャーがまたがることはないから何とかなっていたが、最近ではこれすらも怪しくなっている(その最大の戦犯がインテルとNVIDIAである)。そんなわけで、このあたりで一度アーキテクチャーと製品のラインナップを整理してみたいと思う。
ちなみに、真面目にやると膨大な量のページになってしまうので、とりあえず今回は現在販売しているもののみとし、コード名が判明しているが製品出荷前のものについては「N/A」と示させていただく。また対象はここまで説明してきたインテル/AMD/VIAのCPUとAMD/NVIDIAのGPU、それとインテルのチップセットとさせていただいた。
Core iシリーズで混沌とした
インテルデスクトップCPUのコード名と製品名
インテルの場合、メインストリームより上(ハイパフォーマンス/エンスージャスト向け)は「○○field」、メインストリーム以下(メインストリーム/バリュー向け)は「○○dale」というコード名をつけることが一般的である。もっともこれはあくまで原則であって、例外もいっぱいある。
例えば、初代の65nmプロセスCore 2 Duoは「Conroe」というコード名で、後から出てきたCore 2 Quadは「Kentsfield」だったものの、Core 2 DuoベースのハイエンドCPUは「Conroe-XE」だった。ついでに言えば、Conroeをバリュー市場向けにキャッシュを削減したのが「Allendale」であるが、Westmereコアのモバイル向けCPU(Core i7/5/3)は「Arrandale」と、これまた非常に紛らわしいコード名をつけられていたりするから混乱しそうである。
お詫びと訂正:掲載当初、Arrandaleと記載するところを謝って記載していました。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2010年2月24日)
インテルデスクトップCPUのコード名一覧
アーキテクチャー コード名 |
製造プロセス | 製品コード名 | 製品 |
---|---|---|---|
Penryn | 45nm | Wolfdale | Core 2 Duo E7000番台/E8000番台 |
Pentium E5000番台/E6000番台 | |||
Celeron E3000番台 | |||
Yorkfield | Core 2 Extreme QX9000番台 | ||
Core 2 Quad Q8000番台/Q9000番台 | |||
Nehalem | Bloomfield | Core i7-900番台 | |
Lynnfield | Core i7-800番台 | ||
Core i5-700番台 | |||
Westmere | 32nm CPU +45nm GPU |
Clarkdale | Core i5-600番台 |
Core i3-500番台 | |||
Pentium G6960 | |||
32nm | Gulftown | N/A | |
Sandy Bridge | Sandy Bridge | N/A | |
Silverthorne | 45nm | Diamondville | Atom 230/330/N270/N280 |
Pineview-D | Atom D410/D510 |
まずはデスクトップ向けCPUから始めよう。現在のCore 2 Duoは45nm世代の「Penryn」コアをベースとしたものだが、これはモバイル向けの「製品コード名」がそのまま「アーキテクチャー名」として使われている。デスクトップの製品コード名としては、「Core 2 Duo」が「Wolfdale」、「Core 2 Quad」が「Yorkfield」である。この世代では、バリュー向けに別のコード名を当てることは無かったので、Core 2 Duo/Pentium DualCore/CeleronのすべてがWolfdaleのコード名で統一されている。
これに続くNehalem世代、つまりCore iシリーズであるが、これが混乱の極みである。最初に出たのはXeon向けの「Nehalem-EP」と同じ構造を持つ「Core i7-9xx」シリーズで、これには「Bloomfield」という名前が付けられている。このBloomfieldの場合、オンダイでCPUとメモリーコントローラーを統合したものである。
これに続き、CPUダイにメモリーコントローラーとPCI Expressコントローラーを統合したものが、「Lynnfield」というコード名で登場する。このLynnfieldが「Core i7-8xx」と「Core i5-7xx」という2つのシリーズで登場したことで、Core i7には2種類のアーキテクチャーが混在することになった。
さらに、この後登場した「Clarkdale」もまた、「Core i5-6xx」と「Core i3-5xx」という2つのシリーズで提供されるようになった。Clarkdaleは32nmのCPUコアと、45nmのGPU+メモリーコントローラー+PCI Expressコントローラーをワンチップ化したMCM構造の製品だが、これらの結果、3つのアーキテクチャーが3つの製品ラインに跨って展開される形になっている。製品ラインから見てみるとこうなる。
- Core i7:Bloomfield、Lynnfield
- Core i5:Lynnfield、Clarkdale
- Core i3:Clarkdale
ちなみに、ここまでは現在販売されている製品の話だが、これに続いて今年前半には、新しくWestmereベースの6コア製品も投入されるもようだ(3月という話も囁かれているが、4月にずれ込みそうな気配もある)。これは現在のBloomfieldベースのCore i7-9xxシリーズの後継となるものだが、「Gulftown」というコード名(これもまた例外だ)のこの製品も、やはりCore i7-9xxの型番を使うことになりそうだ。
つまり、Gulftownも加わってCore i7には3種類のアーキテクチャーが混在することになる。また、これに続き2011年に投入される「Sandy Bridge」ベースの製品も、(まだ決定はしていないが)やはりCore i7/5/3の型番を利用することになりそうだ。さらに混乱に拍車がかかりそうである。

この連載の記事
-
第748回
PC
早いペースで新コアIPを発表してRISC-Vを広めたSiFive RISC-Vプロセッサー遍歴 -
第747回
PC
コロナ禍の裏で中国で爆発的に増えたRISC-Vコアの出荷数 RISC-Vプロセッサー遍歴 -
第746回
PC
TOP500の1位に惨敗したスパコンAuroraの真の性能 インテル CPUロードマップ -
第745回
PC
ソフトウェアの壁が独立系プロセッサーIPベンダーを困らせる RISC-Vプロセッサー遍歴 -
第744回
PC
41社でRISC-V財団を創立 RISC-Vプロセッサー遍歴 -
第743回
PC
RISC-Vの仕様策定からSiFiveの創業までAsanovic教授の足跡をたどる RISC-Vプロセッサー遍歴 -
第742回
デジタル
Ryzen Threadripper 7000シリーズのターゲットはAMDの熱狂的なファン AMD CPUロードマップ -
第741回
PC
Meteor LakeのGPU性能はRaptor Lakeの2倍 インテル CPUロードマップ -
第740回
PC
Meteor LakeのNPU性能はGPUの7割程度だが消費電力が圧倒的に少ない インテル CPUロードマップ -
第739回
PC
Meteor Lakeで省電力なのはSoCタイルのEコアのみ インテル CPUロードマップ -
第738回
PC
Intel 4は歩留まりを高めるためにEUVの工程を減らしている インテル CPUロードマップ - この連載の一覧へ