バックアップをめぐる状況が日々大きく変わるなか、シマンテックは複数のバックアップソフトで幅広いニーズをカバーしている。今回は「Symantec Backup Exec System Recovery」の最新版についてデモをふまえて見せてもらった。
シマンテックのバックアップソフトは3種類
データの大容量化、仮想化の隆盛、災害対策やコンプライアンス準拠の必要性など、バックアップをめぐる環境が昨今大きく変化している。また、最近ではデータ保護だけではなく、障害時のシステムの迅速な復旧という役割も果たす必要がでてきた。「枯れた」と思われるバックアップソフトだが、「CDPとか、重複排除とか、ディスクならではの技術やソリューションが次々と生まれています」(株式会社シマンテック プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティング マネージャ 浅野百絵果氏)とのことで、今も大きく成長しているといえるのだ。
こうしたなか、シマンテックは「Veritas NetBackup」、「Backup Exec」、そして「Backup Exec System Recovery」という大きく3つのバックアップソフトを用意している。
このうちVeritas NetBackupはマルチプラットフォームの万能バックアップソフトで、完全にエンタープライズ向け。操作性もUNIXライクで、ベリタス時代にはSolarisプラットフォームでよく使われていたものだ。次のBackup Execは、ご存じWindowsの定番バックアップソフトで、ユーザーインターフェイスはもちろんGUI。おもに小・中規模の企業向けといえる。
そして今回メインとなるBackup Exec System Recoveryはこれら2つとやや性格を異にしたイメージバックアップ製品だ。イメージバックアップはバックアップの単位がファイルではなく、ディスクのスナップショットになる。そのため、Backup Exec System Recoveryは、起動CDからブートし、バックアップイメージをリストア。再起動すれば、すぐにサーバーが利用可能になる。名前のとおり、障害時のシステムの迅速な復旧を実現するソフトで、デスクトップ版も用意されている。「昨今の不況の影響もあり、1本あればデータ保護から災害復旧までできるイメージバックアップはすごく重宝がられていますね」(浅野氏)とのことで、中小規模だけではなく、エンタープライズでもじわじわと人気を高めている。
新バージョン「Backup Exec System Recovery 2010」の概要
さて、2009年11月には最新版「Backup Exec System Recovery 2010」が発表され、対応OSを増やしたほか、いくつもの強化点が挙げられる。エンジニアの宮本寿夫氏の解説を元にまずは新機能をチェックしよう。
- プラットフォームの拡張
- Red HatやSUSE Linuxなどに対応するLinux版を投入。完全バックアップのみで、コマンドラインインターフェイスの操作になる。また、Windows Server 2008R2やExchange 2010などに対応
- 仮想化対応を強化
- 物理環境と仮想化環境のリカバリや変換を強化。仮想か環境のゲストOSも含め、同一ホスト上のWindowsサーバーを無制限に保護する。また、VMware vSphere 4.0やHyper-V 2.0、Citrix XenServer 5.0など最新の仮想化環境をサポート。
- 集中管理の強化
- Altirisをベースにしたシマンテックの管理プラットフォームに対応。資産管理やポリシー設定、モニタリング、ログ管理などの処理をGUIで行なえる。Microsoft Silverlightを用いた直感的なGUIを利用できる。
(次ページ、デスクトップもサーバーもきっちりリカバリできる)