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スマートフォンを本当に“ビジネス”にする 第1回

Mac向け開発で先行したフレームワークを使う HMDT

2009年11月27日 12時00分更新

文● 海上忍

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アプリ内課金でiPhoneアプリの姿が
大きく変わっていくかも

――話は変わりまして、今後iPhoneアプリはどのような方向に進むとお考えでしょうか。

木下 先日、無償アプリにおいてもアプリ内課金(In App Purchase)が開始されましたね。このアップルの判断は示唆的でして、近い将来にはすべてのアプリが無償ダウンロードになると個人的には考えています。最初は無料で試用し、気に入ればコンテンツダウンロードや機能制限解除の方法で支払う、と。

 この課金方法は、高機能なアプリにとって有利なはずです。これまでiPhoneアプリには、言ってしまえば「一発芸」的なものが多く見られましたが、今後はしっかり作り込まれたアプリが増えるのではないでしょうか。

 もう1つ、iPhoneアプリは「iPhoneだけで完結する形になってほしい」という思いもあります。現在はMacまたはPCが母艦で、なにかといえばデータを取りに行かねばなりません。今後はサーバー側に登録しておいたものを必要に応じて取りに行く、というスタイルに移行していくのではないでしょうか。

――最後に、今後の予定について教えてください。

木下 あまり詳細にはお話できませんが……弊社が関与したiPhoneアプリは、年内にも7~8本がリリースされる予定です。そのうち1本が「デジタル大辞泉」でして、こちらについては年内のアップデートをすでに明らかにしていますから、お話しても差し支えないでしょう。メジャーアップデートにふさわしい、他にない新機能を追加しますので、楽しみにお待ちください。

23万語収録の国語辞典アプリ「デジタル大辞泉」。年内にメジャーアップデートされる予定


 HMDTの強さというか面白さは、レベニューシェアではないだろうか。コンセプトからコンテンツ、コーディングまですべてを自社内で行なうのではなく、他社とタッグを組むことでアプリの内容を濃くし、質を高める。

 開発担当として、iMandalArtのコンセプトをどう生かすか、電車の時刻表というコンテンツをどのように見せるか、どうすれば使いやすい国語辞典になるかに集中する。この点、MacとiPhoneに特化した開発をウリにするだけのことはある。

 In App Purchaseに関する木下氏の考えも示唆的だ。すべてのアプリは無償のお試し版から始まり、気に入ったうえでアプリ本体あるいはコンテンツを追加購入するというスタイルは、今後急速に普及するに違いない。一発芸的なアプリが鳴りを潜め、高品質なものに取って代わられる日は近い……と期待もしているのだが、どうなるだろう。


筆者紹介──海上忍


ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、Amazon.co.jpで見る)など。


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