「必要なときだけ払う」という利用スタイル
D23HWを選んだ理由は単純そのもので、料金プランとしてプリペイドサービスの「EMチャージ」が利用できるから(関連記事)。
最新のD31HWは対象外、13インチのMacBook ProではExpressCard型の「D03HW」は使えないし、事実上USB型のD23HWと「D22HW」の2択となる。そこで上り速度に優れる(D23HWは最大5.8Mbps、D22HWは最大1.4Mbps)D23HWをチョイスした。
なぜプリペイドかというと、それほど頻繁に使いそうもないからだ。そもそもイー・モバイル端末に期待するのは、外出時用データ通信カードとしての機能であり、無線LANアクセスポイントがない環境でのピンチヒッターでOK。
そこそこインパクトある初期投資は伴うが、接続はUSBなのでほかのマシンにも使い回せる。選択型プランならば毎月の基本料金はかからず、1時間定額315円、1日定額630円という納得できるプライシング。おお、わがMacBook Proの公園デビューにはもってこいの相棒じゃないッスか、そう考えた次第だ。
いざドライバをインストール……できない
晴天に恵まれたある朝、今日こそ公園デビュー果たすべしと準備を開始した。しかし、ここでひとつ「OSの壁」が問題となる。MacBook Proには最新のMac OS X 10.6「Snow Leopard」がインストールされているが、一方でD23HWはこれをサポートしていない。
とりあえずモノは試しとMacBook ProのUSBポートにD23HWを差し込むと、ドライバーなど一式が収録されたインストーラー「EMOBILE HW ユーティリティ」を含む領域がマウントされた。おお、この調子だと5分後には外出できそう……。
しかし、画面には無情にも「AutoOpenが予期しない理由で終了しました」なるダイアログが。ドライバーをインストールしないことには通信カードとして認識されるわけもないので、ドライバー(KEXT)そのものあるいはKEXTを含むパッケージを取り出して力業でインストールすることを画策。果たして読みは的中、インストーラー内部にそれらしきパッケージを発見した。これでイケるはず!
だが、しかし。再起動後にD23HWを差し込み反応を待っていると、「機能拡張を使用できません」というアラートが。インストーラに付属のスクリプトにあれこれ処理させなければ動作しないのか?
ワレ、ドライバのインストールに成功せり! しかし
知人のイー・モバイルユーザに(Snow Leopardへの新規インストール)対策を尋ねたところ、D31HWのドライバーが動くらしいよ、とのこと。もちろんイレギュラーな使い方だが、このままでは公園デビューできない。時間は11時を過ぎ、妻に作ってもらった唐揚げ弁当を食すタイミングも失ってしまう。この際安全性や信頼性は後回しにして、「つながればよかろうもん」(つながればイイんじゃね? という意の博多弁)というポリシーに変更した。
果たして結果は……セーフ。無事ネットワークインターフェイス(HUAWEIMobile-Modem)として認識され、EMOBILE HW ユーティリティを利用するとあっけなく接続に成功した。試しに起動したSafariでも軽快にブラウジングできて、地上4階のわが家での実効速度も2MbpsオーバーというHSDPAの「線の太さ」を見せてくれた。
酔いしれた……からなのか、そのとき目まいが。そういえば、悪寒と関節痛も。明らかに体調がおかしい。体温計で測ってみると、驚愕の38.5度。熱があると分かると、不思議なもので急激に具合が悪くなり、机に座ることさえ困難になり床に伏した。実は今回の掲載が遅れたのも、3日寝込んだせいでして。
紙幅の都合もあり、プリペイド(EMチャージ)の詳細についてまったく紹介できなかったが、いつか日を改めて報告したい。MacBook Proの公園デビューはともかく、毎日でもいいと願うほど偏愛している唐揚げを食べ損ねたことが、いちばんの心残りだったりする。
※次回は11月24日(火)掲載予定です
筆者紹介──海上忍
ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、Amazon.co.jpで見る)など。
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