いつでもどこでも入金できるモバイルSuica
特にSuicaが利用できる公共交通機関を利用しているユーザーにとっては、モバイルSuicaへの対応は朗報だろう。ちなみにSuicaはICOCA(JR西日本)やTOICA(JR東海)、Kitaca(JR北海道)、あるいは関東圏の私鉄各社が採用しているPASMOとの相互運用が行われており、さまざまな鉄道会社で乗車券代わりに利用することが可能だ。
モバイルSuicaを利用するメリットの1つとして、券売機に並ぶことなく改札口を抜けられることが挙げられる。Suicaは事前にクレジットカードに入金(チャージ)しておき、利用に応じてそこから運賃が引かれるプリペイド方式である。このためチャージ金額が少なくなると券売機などでチャージする必要があり、これが意外と面倒くさい。
しかしモバイルSuicaであれば、登録したクレジットカードを決済手段として利用し、ケータイのアプリケーション上からチャージすることが可能だ。電波が届いていればどこでも構わないため、金額が少なくなっていることに気づいたらすぐにその場でチャージできる。
利用履歴や残りチャージ金額をアプリケーション上から確認できることも、モバイルSuicaならではのメリットだ。カードの場合、いまいくらチャージ金額が残っているのか分からないため、とりあえず改札機にタッチしたら無情にも警告ブザーがなって扉が閉まったという経験を持つ人は多いのではないだろうか。
しかし、モバイルSuicaであれば気になったときにアプリを立ち上げれば残りチャージ金額を調べられるため、こうした失敗をせずに済む。
さて、モバイルSuicaを利用するためにはJavaアプリの「モバイルSuicaアプリ」で、事前に会員登録を行っておく必要がある。会員はクレジットカード必須の「モバイルSuica会員」と、クレジットカードなしでも登録可能な「EASYモバイルSuica会員」の2種類がある。ただ、EASYモバイルSuica会員はコンビニなどでの現金によるチャージに限られるほか、割安に特急やグリーン車に乗車できる、モバイルSuica特急券やSuicaグリーン券が利用できないので注意したい。
チャージを行った後は、通常のSuicaと同様、改札口などのリーダー部分にWX340Kを軽く触れる程度にかざせばSuicaと同様に処理が行われる。事前にアプリケーションを立ち上げておく必要はなく、取り出して改札機にかざすだけでよい。
実際に使ってみて感じるのは、場所を選ばずに入金できるメリットだ。Suicaを利用して、入場できるだけの金額は残っているが、目的地までの運賃には足りないというケースがある。この場合、目的地の駅で精算する必要があるわけだが、大きな駅では精算機に行列ができていることも珍しくない。しかしモバイルSuicaなら、足りないと分かった時点でアプリケーションから入金すればよく、精算機に並ぶ必要はないわけだ。
ただ、これはウィルコムに限った話ではないが、モバイルSuicaではオートチャージに対応していないのは残念なところ。券売機や精算機に並ばずにチャージできるのはモバイルSuicaの大きなメリットだが、オートチャージに対応していればそもそもチャージの手間が省けるため、ぜひ対応を望みたいところである。