無響室(無音響室)による、騒音値測定
最近の電源ユニットは非常に静かで、20dB以下を謳う製品も多い。しかし人の耳では周波数にもよるが20dB以下はほとんど聞こえないと言われているものの、ファンは確実に回っているわけで、耳を近づければ風切り音も聞こえてくる。この音が果たして何dBくらいなのか、非常に気になっている人も多いだろう。そこで登場するのが無響室による騒音の測定というわけだ。
無響室というのは、暗騒音レベル(特定の場所にいたときに聞こえる周囲の騒音)を極限にまで押さえ、可能な限り音が反響しない部屋のことを言う。物体は、全く動いてないと思っても、実は外部の影響を受けて微妙に振動する。それは窓や壁も例外ではなく、外の音は窓や壁を通して、部屋の中の騒音値を上げているのだ(聞こえるか、聞こえないかは別として)。
さて音は空気の振動であるので、外部からの干渉を抑えることが無響室を作る第一歩となるのだが、単に壁や床や天井に緩衝材を貼っても、部屋そのものが外部の音で揺らされてしまっては意味がない。できれば、部屋そのものが宙に浮いたような状態で、なおかつ音をシャットアウトするために分厚く、振動しにくい素材で壁で覆われているのが理想だ。そんな部屋を自宅で作ろうと思ったら莫大な費用がかかる。
そんな都合のいい部屋が、都内を含め、日本のあちこちに存在している。音響メーカーや車両メーカー、大学などにあるほか、産業技術研究センターにもある。産業技術研究センターでは、民間に試験機や試験室を解放しているので、誰でも利用できるのだ。(お金はかかるけど)
地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター
今回、試験に協力頂いた施設は「地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター」というところ。都内に数ヵ所あるほか、各県にもある。ほとんどは工業地域や工場、研究施設がある場所にあり、中小企業のいろいろな試験を請負っている。法人のほか個人の依頼も受け付けているので、興味のある方は一度問い合わせてみてはいかがだろうか。年に数人ほど自作オーディオなどのテストをするために個人で訪れる人がいるという。いつかは自作スピーカーなどを持ち込んで、音響テストをしてみたい! なんて思う人は筆者だけはないはずだ。なお、検査や試験内容によって料金は異なるので、ご注意を。また利用するには予め、予約が必要になる。
東京都立産業技術研究センターURL http://www.iri-tokyo.jp/
究極の静かさを体験できる無響室
まずは今回試験のために協力していただいた施設を見て貰おう。
はっきり言って、電源ユニットごときに、なんと大げさな!という規模の施設である。分厚い扉の向こうは、本当に静かで話しをするときも、やや大きめの声でしゃべらないと聞きにくいほど。残響音(エコー)がない音というのは実に不思議な感じである。
では、測定準備にかかろう。
(次ページへ続く)