落札から2週間のときを経て“ebay store”から、ようやく筆者の『Zune』が届いた。インターネットで情報は、ほぼリアルタイムに届くご時世だが、物流に関してはやはり距離感を感じる。
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揃った2台のZune。手前左がブラウン、奥がブラック |
ちなみに、筆者が注文したのはブラウン。ほかの携帯プレーヤーにない色だから、おもしろい。購入金額は送料などもろもろ含めて、約3万3800円であった。配送には“US Postal Service”(郵便小包)を利用したが、ウェブ上でリアルタイムで状態が確認できるようになっており、発送が始まっても「なかなかアメリカ国内から出ないな」とか、税関で3日間も足止めされているのをやきもきしながら眺めたりと、それなりに便利だった。国際郵便は意外に日本に着いてから時間がかかるのだ。
届いたZuneに関しては、色以外は前回のレポートとまったく一緒なので、特に付け加えることがない。弊社取締役の遠藤のところに到着したブツは、宛先に“Satoshi Zublac Endo”という怪しげなミドルネームが追加されていたのに加え、金額表記が1.99ドル(約230円)、しかも箱の4隅がツブれているという怪しさ満点の状態だったのだが、私のZuneはそういったこともなく、丁寧な梱包に収められた美品として届いた。いずれにしても、これでようやく2台のZuneが編集部に用意されたことになる。P2PというZuneの魅力を満喫する環境が整ったわけだ。
曲を選んで、ボタンを押すだけのカンタン転送
![]() | P2Pしてみた |
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というわけで、以下Zuneの通信機能に関して、紹介していくが、無線機能を利用するためには本体のアップデートが必要だ。出荷状態では、無線LANを利用することができない。
アップデート自体は、パソコンにZune用のクライアントソフトをインストールして、Zuneを接続すると自動的に行なわれるので、それほど面倒な手順を踏むわけではない。ただし、時間は結構必要で、筆者の環境では十数分かかってしまった。
アップデートが済むと、Zuneのトップ画面に“community”というメニューが追加される。この下の階層に周囲のZuneを探したり、友人のZuneから送られてきたファイルの一覧を確認するためのGUIが収められているのである。
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P2Pを行なうには、バージョン1.1にファームアップする必要がある | アップデートすると、新たに“Community”というメニューが追加される |
周囲のZuneを探す方法もシンプルで“nearby”というメニューを選択すればいい。そうすると、自動的にスキャンが始まり、周囲のZuneがリストアップされる仕組みである。無線LANのアクセスポイントを探す作業と近いイメージだ。
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周囲のZuneを検索。紛らわしいが“Zune”という名前のZuneを発見したところ | この人とは通信したくないと思ったら“block”を選ぶ方法もある |
ファイルを相手に送信する方法もあっけないほどシンプルだ。“music”や“pictures”のメニューから、送りたい曲や画像を表示させ、画面上にある“→send”というボタンを押すだけだ。そうすると、どのZuneに送るかを確認する画面が出て、送信が始まる。もちろん、アルバムやプレイリスト、フォルダー単位での送信もできる。
速度もアルバム 1枚程度(WMA192kbpsで、60分程度)なら2~3分で転送できてしまうほど高速で、この点も快適だ。Zuneに触れる前は、iTunesの共有機能(ランデブー)のように、プレイリストをシェアするタイプの機能を想像していたが、そういうものではないようだ。
ちょっと不安なのは、顔も知らない他人のZuneに対しても、電波の届く範囲であれば、自由にファイルを送れてしまう点である。一応仕組みとしては、ファイル転送を始める際に、受信側に「××さんのZuneが音楽を送りたいと言ってきているが、許可するか?」(×× wants to send music. Accept?)という言葉が出るのだが、「おっ、俺に音楽くれるのかラッキー」などと考えて、不用意に許可してしまうとウイルスやいかがわしい画像などを送りつけられて泣きをみるかもしれない。
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送るには“send”を押すだけと非常にシンプル | 受信側のZuneには、“許可するか”(accept)どうかのメッセージが出る |
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ちょっと悲しいが断られた場合に出る画面。××さんはコミュニケーションを拒んでいます(左)。送るのを止めますか?(右)とある |
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ファイルを受信しているところ | 受信し終わったところ。「3日間の間、毎日3回まで再生できると書かれている」 |
現状ではウイルスの報告もないし、悪意を持ったユーザーが自分の周辺にいるとも思えないので、とりあえず安心だが、多少用心深く運用したほうがいいかもしれない部分である。
自分でリッピングしたデータなら自由に配れる
音楽ファイルに関しては、とりあえず自分でリッピングした著作権保護なしのものであれば、そのまますべて送れるようだ。著作権保護に関して、とかく保守的な日本の環境で、レコード会社などがこれを良しとするかには不安な部分があるが、非常に分かりやすくシンプルである。
なお、受信した音楽ファイルを別のユーザーに再送信することはできない。また、再生制限(回数制限や再生可能な期間)を付けることも可能なようだ。静止画に関しては、特に制限なく、再送信することも可能なようである。
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受信したファイルは、Comunication→Inboxというメニューで一覧できる | 日本語の曲名に関しては、フォントの関係で表示されない |
個人的には、音楽はもちろんだが、写真を使ったコミュニケーションがおもしろそうだ。デジタルカメラをZuneに直接接続して、バックアップストレージ的な使い方ができるようになると、撮影したその場で画像をZuneにコピーして、無線LANで友達と共有するといったことも可能になる。パソコンからメール送信するよりはるかに簡単だろう。
そういえば、ZuneはUSB接続の外付けHDDとしてWindowsから認識されない。この点は何が理由なんだろうか? 機会があれば後ほど検証してみたい。
