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米アドビの社長兼COO、シャンタヌ・ナラヤン氏が“Apollo”をデモ

2006年10月12日 20時11分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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米アドビ システムズ(Adobe Systems)社は12日、東京・有楽町の日本外国人特派員協会に国内外のプレス関係者を集め、来日した米アドビ システムズの社長兼COO(最高執行責任者)のシャンタヌ・ナラヤン(Shantanu Narayen)氏による記者会見を開催した。この中でナラヤン氏は同社が開発中の“Apollo”(FlashとPDFを融合した新しいサービス実行環境)をデモンストレーションした。

シャンタヌ・ナラヤン氏
米アドビ システムズの社長兼COOのシャンタヌ・ナラヤン氏

Apollo(アポロ)は、2005年10月に米国アナハイムで行なわれた“Macromedia MAX 2005”(当時、合併完了前の米マクロメディア社が主催するFlash開発者向け会議)で発表された新構想。HTMLで記述されたウェブページを表示・閲覧するウェブブラウザーとは目的が異なり、インターネット(ウェブサイト)経由で配信されるFlashやPDF、HTML/XMLなどの“コンテンツ”を、オンライン/オフラインを問わず利用者が目的に応じて統一されたインターフェースで呼び出せるというプラットフォーム。

ナラヤン氏の発言の要約
ナラヤン氏の発言の要約。紙からウェブ/電子文書へ、静的なウェブページからリッチメディアへなど、ここ数年のパブリッシング(出版、情報発信)の動きをまとめた

今年4月に米アドビ システムズの会長のブルース・チゼン(Bruce Chizen)氏が来日した際に、「今年年末までには(何らかの形でリリースできる)」と発言し、今年8月に行なわれたアドビ システムズとマクロメディアの統合後初となるクリエイター向けイベント“Adobe IDEAS 2006”などでα版を公開していた。

Apolloのα版
記者会見で披露されたApolloのα版。一見すると単なるオーディオプレーヤーソフトのようだ

ナラヤン氏が今日デモした内容も開発途中のα版と言えるもので、iTunesのようなメディアプレーヤーからまずはローカル(HDD内)の音楽を再生して見せた。さらにキーワード検索すると、オンラインの写真共有サイト“Flickr”(フリッカー)から該当する写真を次々にスライドショー表示してみせ、オンライン/オフラインの区別なくマルチメディアコンテンツを同じインターフェースで取り扱える様子を見せた。



Apolloの登場後は、
ビジネスモデルも大きな変革が求められる?

Apolloについては、今月5日に実施された『Adobe Flex 2.0』の開発者向けセミナー(テクニカルワークショップ)でも公開されており、Flashコンテンツクリエイター/Flashサイト開発者の“新たな活躍の場”として期待されている。ただし、Apolloの目指す方向性については、担当者のケビン・リンチ(Kevin Lynch)氏からまだ多くは語られていないのが現状だ。

Apollo 2 Apollo 3
ローカルの音楽を再生しながら、キーワード入力するとFlickrから当てはまる写真を探し出して、次々に再生してみせる。同様にFlashコンテンツやPDFファイルの検索・閲覧も可能になる

昨年のMacromedia MAX 2005での取材では、「ウェブブラウザーに代わるものではない」という発言はあったが、仮にオンライン/オフラインコンテンツ再生環境のデファクトスタンダードを目指すのであれば、ウェブブラウザー向けにバナー広告を配置・配信することで成り立っているFlickrやYouTubeなどのビジネスモデルは、(Apolloの登場・普及後には)大きな変更が求められることになる。ウェブブラウザーでHTMLページを見るのではなく、コンテンツそのものを検索・表示するApolloプラットフォームに合わせた新たな広告モデルか、あるいはまったく異なる収益モデルを検討する必要があるからだ。そうした疑問への回答は、今月下旬に米国ラスベガスで開催される“Adobe MAX 2006”(Macromedia MAXから改称した、Flash&PDF開発者向け会議)で得られるかもしれない。

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