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文書のレイアウトからユーザーインターフェースまで、徹底的にMS Officeに似せた“Kingsoft Office 2007”。画面はWord 2003とKingsoft Writerの比較 |
キングソフト(株)は21日、中国キングソフト社が開発したオフィススイート製品“Kingsoft Office 2007”を、2007年1月から製品版の提供を行なうと発表した。“Microsoft Word”や“Microsoft Excel”などと、ファイルフォーマットの互換性や表示レイアウトから、設定ダイアログのデザインまで徹底して似せることで、マイクロソフト(株)のOfficeシリーズに慣れたユーザーが、容易に操作できる点を特徴としている。無料で試用できるベータ版は、11月1日より同社ウェブサイトにて公開の予定。
Kingsoft Officeは、ワープロソフトの『Kingsoft Writer』、表計算ソフト『Kingsoft Spreadsheets』、プレゼンテーションソフト『Kingsoft Presentation』の3本で構成される。製品ラインナップとしては、3本すべてがセットになった『Kingsoft Office Standard』(4980円)、WriterとSpreadsheetsがセットになった『Kingsoft Office Personal』(3480円)、各ソフトの単体販売(各1980円)が用意される。それぞれのソフトは同社ウェブサイトやダウンロード販売サイトからのダウンロード方式で販売される。対応OSはWindows XP/2000/Vista。
各製品の特徴は、同ジャンルのMicrosoft Officeシリーズのソフトとの互換性の高さにある。WordやExcel、PowerPointで作成されたファイルをKingsoft Officeで開いた場合、たとえばWord文書のレイアウトや字詰め、Excelのグラフ形式など、他社の同種ソフトでは忠実に再現されないような要素も、忠実に再現できるとしている。保存についても互換性を確保しているという。またOffice 2007シリーズが採用するXMLベースのファイル形式“Open XML Formats”についても、アップデート等で提供するという。
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他社のワープロソフトでは、Word文書を読み込めても表示レイアウトが崩れてしまう | Kingsoft Writerでは、Word文書のレイアウトを忠実に再現する |
表示だけでなく、操作面でもOfficeシリーズとの互換性を追求していて、メニューの並びや各種設定ダイアログのデザイン、ダイアログで使われる表記や用語も合わせている。これにより、WordやExcelに慣れたユーザーならば新たに操作法に慣れる必要なく利用できる。
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Excelのスプレッドシートも同様で、他社製品ではグラフが忠実に再現されないところを…… | Kingsoft Spreadsheetsでは、ほぼ同様の見た目で再現できる |
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フォント設定のダイアログも、細かい修飾やアニメーション以外はほとんどそのまま再現 |
またKingsoft Office独自の機能としては、PDF形式でのファイル出力機能を標準搭載しているほか、複数のファイルを開く際には、1つのウィンドウ内でタブによりファイルを切り替える“タブ表示機能”を備えている。プログラムのファイルサイズも小さく、ダウンロード時37MB、インストール時も87MB程度のHDD占有で済むという。
MS製品による独占状態を互換路線で打破
同日に東京都内にて開かれた製品発表会では、中国キングソフト CEOの雷軍(レイ・ジュン)氏や、同社副総裁兼WPS事業部総責任者の葛珂(グ・ク)氏らが登壇し、同社の事業戦略とKingsoft Officeについての説明を行なった。
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中国キングソフト社CEOの雷軍(レイ・ジュン)氏 |
雷氏はまず同社の事業について、“WPS Office”(Kingsoft Officeの中国版名)シリーズ、“Kingsoft Internet Security”シリーズ、オンラインゲーム事業の3本が柱であり、特にオンラインゲーム事業については、中国本土および台湾、ベトナムでサービスを展開し、多くのユーザーを獲得しているとした。また日本でも2005年9月に100万本無償提供キャンペーンでスタートした“キングソフトインターネットセキュリティ2006”が200万本超のダウンロードを記録して「輝かしい成功」(雷氏)を収めるなど、順調に推移しているとの見方を示した。
WPSシリーズは1988年に登場して、中国独自のワープロソフトとして大きなシェアを誇っていたものの、Windows 95の登場以降はOSと一体となって進出してきたMicrosoft Officeシリーズにシェアを急速に奪われ、10%程度までシェアが下落したこともあったという。Officeの攻勢で国産ソフトが駆逐された、日本と似た状況にあったようだ。
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日本のオフィスソフト市場のシェアを示したスライド。中国も一時期同様の状態に陥り、その対抗策として互換路線を選択したという |
その状況に対して同社では、Officeと徹底的に“似せる”ことで対抗する道を選んだ。3年をかけて作られたWPS Office 2005は、Officeとファイルから操作性まで高い互換性を追求し、なおかつ価格を大幅に安く設定したことでシェアの回復に成功し、現在では中国国内のOfficeソフト市場で20%程度のシェアを確保しているという。政府機関や地方行政機関、金融機関等での採用も進んでいるという。
中国での成功と同様に、日本市場においても“Officeとの互換性”と“低価格”を武器としたソフトを提供することで、市場シェアの上位を目指すと雷氏は述べた。
インターネットセキュリティーに無期限ライセンス追加
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“キングソフトインターネットセキュリティ2007”のひとつ、“Kingsoft Antivirus 2007” |
同社では同日、統合セキュリティースイート“キングソフトインターネットセキュリティ”シリーズの最新版“キングソフトインターネットセキュリティ2007”を提供開始すると同時に、年次更新料金不要の“無期限版”を販売開始すると発表した。価格は3900円で、2006年12月末までは1980円のキャンペーン価格で販売される。キングソフトインターネットセキュリティは、クライアントソフトは無償でダウンロード提供されている。有料のライセンスナンバーを購入しソフトに入力することで、製品版となる販売形態を取っている。無期限版は年単位のライセンス更新(1~5年単位)が不要になり、アップデートファイルの提供が無期限に受けられるようになるほか、新バージョンへのアップグレードが無償で可能になる。
無期限版はキングソフトインターネットセキュリティ2007と、従来からある“キングソフトインターネットセキュリティ2006、2006+”のいずれのバージョンでも利用可能である。
