デジタルハリウッド(株)は9日、同社主催の携帯電話アプリケーションプラットフォームのセミナーイベント“BREW JAPAN Conference 2006”を東京・港区の“ホテルオークラ”で開催した。今回は4月16日にEZアプリのダウンロード数が1億件を突破したというKDDI(株)のau開発担当者などの講演を中心にお伝えする。
セミナーの中心である“BREW”(ブリュー)は、米クアルコム(QUALCOMM)社が開発したCDMA携帯電話機向けプラットフォームで、au携帯電話の“EZアプリ”開発に採用されている。今回のセミナーは“Break the world with BREW”というテーマで、デジタルハリウッドが主催、クアルコムが共催、KDDIが特別協賛という形で開催された。
デジタルハリウッド学校長兼デジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏 |
セミナー冒頭、デジタルハリウッド学校長兼デジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏が挨拶を行ない「ナンバーポータビリティや、(2007年に携帯電話機への搭載が義務化される)GPSチップが載っている、ということになれば、法人、コンシューマーを問わず、とんでもなく広い応用範囲ができる。これだけの状況が整っている国は日本しかない。我々BREWに関わっている人々が、いかに(BREWの技術を)広げ、いかに素晴らしい世界を築くかが、世界に対しても大きなパフォーマンスにつながる」と語った。
KDDI(株) au商品企画本部 プロダクト戦略開発部長の酒井 清一郎氏 |
その後、KDDIのau商品企画本部 プロダクト戦略開発部長の酒井 清一郎氏が壇上に上がった。同氏はまず、EZアプリの1億ダウンロードについて触れ、「BREWをサービスとして開始したのは2003年2月。わずか3年にしてここまで来られたのは皆様のお力のおかげです」と来場者に礼を述べた。ちなみにauブランド携帯電話機の2005年度累計稼動数は約2270万台で、そのうちBREW対応機種は1734万台、つまり約75%のau携帯電話機がBREW対応になっているという。
その上で1月にKDDIが発表した音楽サービス“LISMO”に対応する7機種の携帯電話機を同時期に開発し、投入できたのはまさに「BREWが大きな役割を果たした」と強調した。本来、機種ごとで開発工程がバラバラなのに加え、LISMO対応アプリ自体も、単に音楽を再生するだけのものではなく、コミュニティーへのアクセス機能など付加機能が多いアプリケーションとなっている。しかし、BREWベースの共通プラットフォームを採用することで、まずBREWでアプリの開発を行ない、その後各メーカーの機種で検証を行なうことが可能だった。その結果、早期に7機種もの製品を一斉に展開できたという。
同氏は今後、BREWアプリのより高い機種互換性を実現していくため、端末メーカーにテストアプリを提供し、それが動作するように開発してもらうことや、携帯電話機に使用する部品(チップ)のバリエーションを揃えること、さらに同社がBREWアプリの開発ガイドラインを設定するなどの方策を語った。そのほか今後の取り組みについては3D機能の強化を挙げ、2007年に登場する予定の次期3D環境“MSM 7500”に向けて開発環境を整えていくという。
KDDI(株) コンテンツ・EC本部 コンテンツ推進本部の竹之内剛氏 | KDDI(株) モバイルソリューション商品開発本部長の山本泰英氏 | 7月に発売予定の“スタミナケータイ”『E02SA』(三洋電機製) |
その後、同じくKDDIのコンテンツ・EC本部 コンテンツ推進本部の竹之内剛氏が壇上に上がり、コンテンツの現状や今後などについて講演を行なった。2005年度6月時点において、EZアプリは2500本になったが、そのうち86%がゲームだという。BREWアプリの特徴である高速なプログラムと多様なプロトコルへの対応、そして同社の定額サービスにより、リアルタイム通信対戦ゲームの優位性を最大限に引き出していることが貢献しているという。続いて壇上に上がったモバイルソリューション商品開発本部長の山本泰英氏は、法人向けソリューションについて講演。その中で同社が販売する携帯電話機としては初めて無線LAN(IEEE 802.11b/g)に対応するという『E02SA』(三洋電機製)を紹介した(7月に発売予定)。